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大きく息を吸った彼は「安藤さんは？」とスッキリしたような顔で問いかけた
はきはきとした声に「何が？」と聞き返せば「おかあさん、」と単語が返ってくる
「どんな人やった？優しい人とか怒りっぽい人やとか、」
「優しいかな、優しくて明るくてよう笑うてた
大ちゃんの事もね、本物の息子みたいに可愛がってたんよ」
「へえ、素敵なおかあさんやったんやな」
「安藤さんみたい、」
そんな言葉をあまりにも優しい声で呟くのが高いところから聞こえ、隣を歩く彼を見上げれば柔らかい笑みをくしゃりと見せる
藤井くんには一切の下心がないからか、
ドキドキというより、ぽかぽかと心があたたまる感覚に私も笑みが零れた
「藤井くんも、優しくて素敵やで」
「やからそれは安藤さんが優しいからやって」
「そういえば前も言うてたね、でもどういう事なん？」
藤井くんは少し楽しそうに笑って二歩大きく前に進み、私に体を向けながら後ろ向きに歩く
十一月中旬という事もありまだ少し薄地のマフラーに顔を埋める彼はパーカーのポケットに手を入れて、
自分で暖をとりながら言葉を紡いだ
「優しい人には優しくしろ、その人だけが損をしないように
そしたらきっとその人もお前に優しさをくれるからって、剣道の先生からの教えやねん
やから俺は安藤さんに優しくする、力になりたいって言うてくれた安藤さんの力になる、…そういう事っす」
私より前に歩いていた彼はそう言って立ち止まり、
少し照れたように鼻先を掻いてはにかむ
「…ありがとう」と伝えればニコニコとしながら頷いた
再び二人並んで歩き出すと見える自宅の屋根
「見えてきた〜」と彼は呟く
「藤井くんはほんまに背が高いね
やから大ちゃん抱き着くの楽しいんやろな、アトラクションみたいで」
「なんやそれ、安藤さんも乗ってみる？」
驚いていれば目の前にしゃがみ込む藤井くん
「乗らへんよ」と笑いながら伝えれば彼はしゃがんだ状態で後ろにいる私を見上げ、
すぐ閃いたようにいたずらっ子に笑い「じゃあこっち」って
以前大ちゃんもされていたように藤井くんは私を肩に担ぎ走り出した
「それはあかっ…ねえ怖いっ！」
「はははっ高い？あと少しやから頑張りっ」
私達は心から笑い、楽しい時間を過ごした
弱い私達でも 優しさ は持っていたから
助け合うように二人、 友情 を深めていくのです
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くまりんご(プロフ) - 84話の流星と大ちゃんのくだりがとても泣けました、桜さんが書く世界観がとても好きです！！これからも頑張ってください！ (2017年8月16日 23時) (
レス) id: e2ac88fff8 (このIDを非表示/違反報告)
しほ - お話読ませていただきました！今までなったことないような、なんとも言えない気持ちになり、何度も何度も読み返してしまいました。これからも応援してます！ (2017年4月30日 12時) (レス) id: 3dfa1a26ca (このIDを非表示/違反報告)
フレンズ - この作品、すごく好きです！ 更新頑張ってください！ (2017年4月20日 14時) (レス) id: 1d5f3d8302 (このIDを非表示/違反報告)
CIEL - 更新、待っていました。流星くんと大吾くんの笑顔と涙が重なって…言葉にできないけれど、頭の中に残っています。これからも、楽しみに待っています。 (2017年3月9日 23時) (レス) id: ebf57fe415 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴー(プロフ) - 桜さん、のんぴーです。受験が終わり久しぶりに読ませていただきました。私の持っている言葉ではうまく感想が伝えられません。これからも応援してます。 (2017年3月8日 23時) (レス) id: 4a04a2b822 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年9月20日 19時
