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ゴツッ…という鈍い音と共に激しい痛みが襲い、
「いったァッ!」と頭を抱えて飛び起きた
同じタイミングで、私よりも低い声で同じ言葉を発した事に時間差で気づき、
慌ててその声の方へ振り向けば、床に座り、ベッドに顔を伏せながら頭を押さえる男の子
状況理解に苦しんで、まだ酔いが残る頭では考えようにも考えられず、
とりあえずそこであわあわとするしかなかった
「…痛いんやけど、」
「あっ…ごめんなさっ……、」
素直に「え?」という声が出た
なぜ、なぜ彼がここにいるの、というかまずここはどこなのか
記憶を遡っても、ミカの言葉から先なんて覚えてなくて、
今、目の前にぶつかり合った頭をさする重岡くんがいる事もわけがわからなくて、
私は何をやらかしたのか、血の気が引くように顔は冷たくなっていく
「…ここは、」
「俺ん家」
「…ですよね、でもどうして?」
「せんせーが酔い潰れてお友達さん一人じゃ運べへんから手伝ったりぃ言われたから、
あーこの人俺の知り合いですよ、Aさんですよね、って
お友達さんびっくりしてはったけど、俺に任せてください言うてここに運びました」
「わかった?せーんせっ」とベッドに座る私を見上げて、ベッドに手をつき膝立ちになって距離を縮めてくる重岡くん
こくっと頷けば、いつもの笑顔を見せてくれる
それにホッとしているのも束の間
慌てて時計を確認すれば、夜中の2時を回っていて、
何度も何度も、彼に頭を下げた
「大変ご迷惑をおかけしました」
「気にせんでええのに、むしろ嬉しいんですよ?」
「…嬉しい?」
「俺いつも一人やもん、
こんな夜にも誰かがここにおるって、久しぶりやから」
見た事のないくらい優しい笑顔を見せてくれた
ふわっと柔らかい口調で、私を見上げながら言った
「それがせんせーで俺は嬉しい」
重岡くんが立ち上がり、微かに鼻を掠めた煙やタバコの臭い
私からも同じ臭いがしている
そこでようやくわかった、彼はあの居酒屋でアルバイトをしていたのだと
けどそんな話、聞いた事がなかった
彼の情報は廊下を歩いていれば自然と入ってくる、
今学校のどこにいるのかも、すぐにわかるほどだ
そんな重岡くんがアルバイトをしているなど、
きっと他の誰も、その事は知らないんだ
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亀 - ヤバイっすね。これ読んでるとなんか、不思議な世界に行ってる感じがするんスよ。めちゃくちゃ好きです。桜さん!頑張って下さい! (2017年6月12日 0時) (レス) id: df4bec14b1 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!嬉しいです、嬉しいです!どんどん堕ちていけるよう、私も頑張ります!第2章は少し複雑なので読みにくいかもしれませんが、後半はキュンキュンモードに入るので、ぜひそちらの方も読み進めていただけたらなと思います! (2016年5月26日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - たまたま見つけましたが、彼の甘い罠に私も完全に堕ちました…続きが読みたくて仕方ない程ハマっています。綺麗な笑顔の裏に隠された彼の闇がまた良い…! (2016年5月25日 17時) (レス) id: 24f53807b9 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます。前作を書いてる時にどんどんストーリが浮かんできて、今書いててすごく楽しいです!お言葉嬉しいです、どんどん惑わされちゃってください!(笑)励みになります、頑張りますね! (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - aoiさん» コメントありがとうございます。一番ですか!嬉しすぎますありがとうございます!感激です、とても励みになります!ありがとうございます、頑張りますね! (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2016年5月12日 22時