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実習期間、きっと私はそんな重岡くんとは授業以外で関わることなどないのだろう
そんなことを考えていた
実習二日目の朝、
気になっていた本があったので、朝礼を終えてすぐに図書室へと足を運んだ
職員室は緊張して、先生の服から臭うタバコやコーヒーの香りが混じり合い、若い女性教師から漂う甘い香水が加わった瞬間に、気を失いそうなほどの吐き気が襲う
きっと高校時代、それがそこまで気にならなかったのはそんなに緊張感を持ってそこへいなかったからで、
教育実習生という立場となれば、突然そこは地獄と化す
私が通っていた時とは変わらない図書室
肺を浄化するかのように、大きく息を吸って吐いた
目的の本を探そうと足を一歩踏み出そうとした時、
コツ…と音を当てて、本棚の間に人影が見えた
誰もいないと思っていたから、やけに心臓は早く鼓動して、
なぜかはわからない、無意識に忍び足で人影が見えた本棚へと歩み寄る
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「…あれ、せんせー」
「…えっ、と」
「忘れたんですか？
酷いなぁ、せんせーとはもう会うてるはずなんやけどな、」
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彼が手にしていたのは、私が求めていた古文の本
そっちにばかり興味がいき、彼の顔は見ていなかった
するとその本はいきなり上へと移動するから、自然と私もそっちへ目線を向けてしまい、
あっけなく二日前に校長室で見つめ合った彼の目が、また私の目をまっすぐに捉えた
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「俺、無視は嫌いですよ」
「そういうつもりじゃ、」
「いーや、完全に無視やったもんね」
「…それ、重岡くん読むの？」
「……、」
「…重岡くん？」
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決して目は逸らさない
綺麗な目に堕ちそうになるのをグッと力を込めてとどめていた
吸い込まれそうなほどまっすぐな目
その目の奥には何も見えない
透き通っているのに、何も見えない
真っ黒なわけでも、くすんでいるわけでもない
何を考えているのかわからない
これが一番、正しい言い方なのだろう
それすらもわからない、彼はわからない人だ
「せんせ、俺古典苦手なんです」
「…うん、知ってるよ」
「俺の名前も知ってはるんですね」
「当たり前でしょ、校長室で自己紹介したじゃない」
まるで幼稚園児のように決して「先生」とは聞こえない話し方
彼独特のその「せんせ」という響きに、ドクンと心臓は脈を打つ
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亀 - ヤバイっすね。これ読んでるとなんか、不思議な世界に行ってる感じがするんスよ。めちゃくちゃ好きです。桜さん！頑張って下さい！ (2017年6月12日 0時) (
レス) id: df4bec14b1 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます！嬉しいです、嬉しいです！どんどん堕ちていけるよう、私も頑張ります！第２章は少し複雑なので読みにくいかもしれませんが、後半はキュンキュンモードに入るので、ぜひそちらの方も読み進めていただけたらなと思います！ (2016年5月26日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - たまたま見つけましたが、彼の甘い罠に私も完全に堕ちました…続きが読みたくて仕方ない程ハマっています。綺麗な笑顔の裏に隠された彼の闇がまた良い…！ (2016年5月25日 17時) (レス) id: 24f53807b9 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます。前作を書いてる時にどんどんストーリが浮かんできて、今書いててすごく楽しいです！お言葉嬉しいです、どんどん惑わされちゃってください！（笑）励みになります、頑張りますね！ (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - aoiさん» コメントありがとうございます。一番ですか！嬉しすぎますありがとうございます！感激です、とても励みになります！ありがとうございます、頑張りますね！ (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年5月12日 22時
