検索窓
今日:14 hit、昨日:80 hit、合計:1,204,737 hit

◆39 ページ39

.





重岡くんは手を繋いだまま器用に鍵を開け、中へ入る


今ではもう見慣れた物の少ないこの部屋


ゆっくりと手は離され、重岡くんは私を置いて進む


窓の傍に置いてあるキャンドルを一つ手に取り、


私の方へ振り返りふわっと笑った




何も言わずに手に取ったキャンドルを机の真ん中にトンと置き、マッチを擦ってそれを焚く


ベッドに凭れるように座った彼の隣に座ると、またすぐに指を絡められる


二人でキャンドルの灯を眺め、時間だけが過ぎた








「…ずっとこのままでおりたい」


「…うん」


「…せんせ、寂しい?」


「寂しかった、悲しかった、

霤沈菁擇諭教育実習が終わった後もサークルには戻ってこなかったの…ずっとそれが不思議だった、

…実習中に決めたんだって、大学卒業して教師になれた時にプロポーズしようって、

その時までに指輪を買えるように、勉強しながら夜寝る間も惜しんでアルバイトしてたんだって、

…凄いよねぇ、本当に、…本当に、彼女さんの事を愛してるんだなって、苦しいくらいに思い知らされちゃったなッ…」







うん、うん、そう相槌を打ちながら手に力を込めてくれる


私の顔は見ないようにしてくれてるのは、きっと重岡くんの優しさなのだろう


堪らずキャンドルを眺める重岡くんの首元に顔を埋めた


「ごめん」と伝えれば何も言わずに首を振る


私の頭に顎を置いて、繋がれていない方の手で頭をそっと撫でてくれる









「言うた通り、俺が忘れさせてあげます」


「…私重岡くんを傷付けたくない」


「傷付くのは慣れてますよ」








そう言って私の頭を優しく掴み、体を離す


目と目が合えば優しく微笑んだ重岡くんがいた


両手で私の頰を包み込み、流れる涙を拭ってくれる








「そんな残酷な事ッ…」


「せんせーが悲しんでるとな、俺も悲しいねん」


「だからって…」


「俺せんせーが好き

…好きやからさ、全然苦しくないで」








「な?」と首を傾げる重岡くんの笑顔は優しく、


「せんせ、」と甘く呼ぶその声は耳の奥深くまで響き、頭の中が熱くなるような






「…俺が癒してあげる」






ゆっくりと近づくその顔を背ける事も出来ない


その甘い声に酔い、惹きつけられる目の奥に堕ちた


微かに開く唇は甘く、甘く、ついばむように重なる


ゆっくり、ちゅっと音を鳴らして離す重岡くん


俯く私の首筋に触れ、重岡くんは自ら顔を寄せてもう一度甘く口づけを落とした





.

◆40→←◆38



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (561 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1844人がお気に入り
設定タグ:重岡大毅 , 高校 , ジャニーズWEST   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- ヤバイっすね。これ読んでるとなんか、不思議な世界に行ってる感じがするんスよ。めちゃくちゃ好きです。桜さん!頑張って下さい! (2017年6月12日 0時) (レス) id: df4bec14b1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!嬉しいです、嬉しいです!どんどん堕ちていけるよう、私も頑張ります!第2章は少し複雑なので読みにくいかもしれませんが、後半はキュンキュンモードに入るので、ぜひそちらの方も読み進めていただけたらなと思います! (2016年5月26日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - たまたま見つけましたが、彼の甘い罠に私も完全に堕ちました…続きが読みたくて仕方ない程ハマっています。綺麗な笑顔の裏に隠された彼の闇がまた良い…! (2016年5月25日 17時) (レス) id: 24f53807b9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます。前作を書いてる時にどんどんストーリが浮かんできて、今書いててすごく楽しいです!お言葉嬉しいです、どんどん惑わされちゃってください!(笑)励みになります、頑張りますね! (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - aoiさん» コメントありがとうございます。一番ですか!嬉しすぎますありがとうございます!感激です、とても励みになります!ありがとうございます、頑張りますね! (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2016年5月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。