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時が過ぎるのは早いもので、もう受験が目前に控えていた。今日は、受験前最後の塾である。
今日もなるせと帰れるといいなと思いながら、日が落ちて薄暗くなった道をひたすら歩き、塾を目指した。
塾まであと数十メートルの所で、向かいからふたつの人影が見えて目を凝らし、ハッキリと認識できたところで足を止めた。
なるせと、なるせと同じ高校に通ってる女の子が一緒に歩いていた。なるせは照れくさそうに笑い、隣を歩いていた女の子と笑いあっていた。
なるせだけならよかったんだ。その隣にいる人を見たくなかった。しかも、彼のあんな顔を、私は見たことがない。
いつの日か味わったあの感覚が、再度蘇る。黒く醜いあれが、胸の奥で這いつくばっているようだ。
周りのことなど見えないくらいに視野が狭くなり、彼しか見えなくなって最低な願い事ばかりしまって、酷い物憂さに襲われる、あの感覚。
この感情に名前をつけるなら、嫉妬だ。
なるせの彼女でもないのに勝手に嫉妬して、こんなことばかり考えてしまう自分が心底嫌いだ。
目の奥がじわじわと熱くなり、こんな自分を彼に見せるのも嫌で、咄嗟に路地裏へと駆け込んだ。
可愛いって思ってもらいたくて頑張って覚えた編み込みを、力任せに解いた。一、二本髪が抜けてしまったが、今はそんなこと気にならなかった。
「(好きって、伝えたい)」
告白する勇気なんてなく、今までずっと彼を一方的に想い続けるだけだった。それが募りに募って、爆発しそうだ。
でも、受験前の彼に告白なんてしたら、迷惑になるんじゃないだろうか。いっその事、嫌いになれたら楽になるんじゃないだろうか。そんなことを考えてしまった。
胸の奥が苦しくて、苦しくて、壊れてしまいそうだ。
胸を押えてしゃがみこみ、涙が出そうになるのを必死で抑えた。
すると、後ろから聞きなれた足音が聞こえてくる。その足音はどんどん近づいてきて、ピタリと止まった。
振り返ると
「なんでいるの、なるせ」
やっぱり、彼がいた。
「路地裏に入っていくの見えたから、心配になった」
そう言うと彼は訳を聞き出そうともせず、ただ黙って隣にしゃがみこんだ。
腕をこちらに伸ばし、ぽんっと頭を撫でられた。その手の温かさに、抑えていた涙が溢れ出た。
そうやって優しくしてくれるから、彼を嫌いになんてなれなかった。
ちゃんと、この気持ちを彼に伝えよう。そう心に決め、しばらく彼の優しさに甘えた。
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ゆら - わー！私、丁度受験終わったところなんです(´TωT｀) (2021年5月3日 12時) (
レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - こちらもすべて見ました、個人的にaftertheRainが好きでとても素敵なお話がたくさんありました！どの作者様の思いが込められていて幸せな気持ちになりました、神企画の名にふさわしいものですね(*´艸｀*素敵な作品をありがとうございました！ (2020年3月15日 21時) (レス) id: 6889ca0c35 (このIDを非表示/違反報告)
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