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寒い寒い朝。
受験票を持って、制服の上にコートを着て、カイロを持って、筆記用具を持って、家を出た。
「…つきくん?」
「やっほー。」
玄関を出れば、我が家の壁にもたれてるつきくんの姿。…絵になるなぁ。かっこいい。
「駅まで一緒に行ってもいい?」
「うん。」
家から駅まで徒歩15分くらい。2人で並んで歩く。
「あの、さ…今言うことじゃないんだけど、」
「うん?」
言いづらそうに、つきくんにしては目を合わせてくれずに、つきくんが口を開いた。
「俺は落ちたけど。今の大学で楽しいし、大事な友達にも出会えた。
どこに、行ったとしてもその場所での出会いがある、から、もし受かってたらそれはそれで誰かと出会ってた。」
相槌を打っていいのか分からなくて、つきくんが何を言いたいのか分からなくて、じっと隣を歩くつきくんを見つめた。
「だからさ、俺は何も後悔してないから。Aもさ、結果がどうなっても、後悔しないように全力で受けてきてね。」
「…うん。」
初めて教えてくれたつきくんの本音。多分、今だから、今日だから教えてくれたんだと思う。
「ありがとう。」
「行ってらっしゃい。」
手のひらを合わせて、音を鳴らして、振り返らずに改札を通った。
結果発表で桜は咲くのか散るのか。
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ゆら - わー!私、丁度受験終わったところなんです(´TωT`) (2021年5月3日 12時) (レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - こちらもすべて見ました、個人的にaftertheRainが好きでとても素敵なお話がたくさんありました!どの作者様の思いが込められていて幸せな気持ちになりました、神企画の名にふさわしいものですね(*´艸`*素敵な作品をありがとうございました! (2020年3月15日 21時) (レス) id: 6889ca0c35 (このIDを非表示/違反報告)
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