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「……ーい、おーい！ A！」
「っ、はいっ！？」
耳元で大声で名前を呼ばれ、私は思い切り肩を跳ねさせる。
その衝撃で、手に握っていたらしいスマホが床に滑り落ちた。
カシャン、と嫌な音が響いたと同時に、今度は隣から笑い声が聞こえる。
「ははっ、やっと起きた」
「へ……？」
ぼんやり、はっきりしない思考。
あぁ、私寝起きなんだと理解するのに数秒。
隣で笑っているのは坂田なんだと気付くのに、更に数秒。
「さか、た……？」
「ん？ なに、寝ぼけてるん？」
ひらひらと、私の目の前で手を振る坂田。
……どうやら、懐かしい夢を見ていたらしい。
(高校時代の……夢……)
うじうじと悩んでいた私に、坂田が喝を入れてくれた時の夢。
ーー私の将来が変わった時の夢。
つい懐かしくて、頬が緩んだ。
そんな私に、不満気だった坂田は「あぁそういえば」と悪戯っぽく笑って時計に目をやる。
「準備終了まであと２０分やで？」
「はっ……えっ！？」
ばっ、とソファから身体を起こせば、ここが何処で何をしていたのかをすぐに理解できる。
ここはライブ会場の控え室で、今は本番前のリハーサルの準備時間。
どうやら、貰った休憩時間に仮眠をとっていたら寝入ってしまっていたらしい。
「ちょっと、起こしてよ！ 坂田まだ準備終わってないじゃん！」
「えー、だってぐっすり寝てたから起こしづらかったもん」
「だったら他の人に頼むとか……！」
「やだ。俺の専属はAなの！」
何故か得意げな坂田を横目に、「もう！」と文句を零しながら慌ただしく「準備」を始める私。
傍らで、坂田は挑発的に唇の端を持ち上げた。
「それに、Aなら２０分あれば十分やろ？」
その言葉に、私は鏡越しに「当然！」と笑んでみせる。
「ほら、始めるから座って」
準備した椅子を手で指せば、坂田は素直に応じてそこに座った。
「……ねぇ、坂田」
「ん？」
「高校の時、さ……」
ーー背中を押してくれて、ありがとう。
「……ううん、やっぱりなんでもない」
「えっ！？ なにそれ！ 気になる！」
「はいはい、いいから。 時間ないの！」
むす、と拗ねてしまう坂田に、苦笑いをひとつ。
言葉で伝えた方がよかったのかもしれないけれど、今の私には、別に感謝を伝える方法がある。
今度は、私が。
ーー私のメイクで、彼の背中を押してあげるんだ。
その時は、きっと。/となりの坂田。 By.Elice→←＊＊＊
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ゆら - わー！私、丁度受験終わったところなんです(´TωT｀) (2021年5月3日 12時) (
レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - こちらもすべて見ました、個人的にaftertheRainが好きでとても素敵なお話がたくさんありました！どの作者様の思いが込められていて幸せな気持ちになりました、神企画の名にふさわしいものですね(*´艸｀*素敵な作品をありがとうございました！ (2020年3月15日 21時) (レス) id: 6889ca0c35 (このIDを非表示/違反報告)
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