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「は、え？」
「……っ、ぁ……ご、め……」
坂田の唖然とした声に、とんでもないことを口走った自分に気付いて我に返る。
言ってしまった。
言うつもりなんてなかったのに、言ってしまった。
長年、胸に押し留め続けた想い。
きっと、これから先も告げることなどないのだろうと決め込んでいた想い。
驚きと戸惑いに瞳を揺らす坂田から、ゆらりと退いて。
とん、と背中が教室の壁にぶつかって、私は息を呑んだ。
視界の隅で、風に吹かれたカーテンが音もなく揺れている。
……カーテンだけではない。
全ての音が、再びこの世から消え去ったような気がした。
「好きな、人？ 俺が……？」
「あ……ぅ……」
そんな無音の世界を彩るのは、坂田の声。
いつだってそうだった。
私の「無」を飾るのはいつだって坂田だった。
言葉にならない声が喉奥から漏れて、溶ける。
肯定も否定もできない私に、坂田は言葉を重ねていく。
「俺と離れたくなかったから、遠くにある志望校諦めたん……？」
声が詰まる。
馬鹿な話だ。
恋のために自分の夢を諦める、なんて。
友人にも、先生にも、親にも。
みんなに怒られてしまう。
でも、それくらい。
彼が、坂田が隣にいない毎日が、信じられなかった、認めたくなかった。
「ごめ、ん……ごめんね、坂田……」
「え、何、が……」
「勝手に、私の夢を押し付けるようなことしてた……全部私が悪いのに、坂田のせいみたいに……本当、ごめん」
じわ、と涙が滲む。
謝ることすら烏滸がましいのに、どうしても涙が抑えられない。
一粒の雫が頬を伝った瞬間、ぶわ、とカーテンが大きく翻って。
気付けば、俯いた私の頭の上に、優しい温もりが乗っていた。
「……別に、謝らんでええよ」
それは、優しい声。
彼は色んな人にその優しさを見せてきていたけれど、私の知る限り、こんなに慈愛に満ちた声は聞いたことがない。
やめて、やめてよ。
そんな声で、触れてこないで。
「俺こそ、気付けへんくて……ごめん」
「……っ、なんで、坂田が謝るの……？ 私が勝手に悩んでただけ、なのに」
きゅ、とプリーツスカートを握りしめ、瞳に滲む涙を堪える。
それでもぽろぽろと溢れ出す涙は、一体何の感情なのだろう。
「いや……俺も……早く言えばよかったなぁって」
「……え？」
くすくすと笑う声が、頭の上から徐々に降りてくる。
私の顔を覗き込むように視線を合わせた坂田が、ふわりと嬉しそうに微笑んだ。
「俺も、好き」
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ゆら - わー！私、丁度受験終わったところなんです(´TωT｀) (2021年5月3日 12時) (
レス) id: 178b398402 (このIDを非表示/違反報告)
あーやんの向日葵畑(プロフ) - こちらもすべて見ました、個人的にaftertheRainが好きでとても素敵なお話がたくさんありました！どの作者様の思いが込められていて幸せな気持ちになりました、神企画の名にふさわしいものですね(*´艸｀*素敵な作品をありがとうございました！ (2020年3月15日 21時) (レス) id: 6889ca0c35 (このIDを非表示/違反報告)
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