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【センラ】始まりの歌/鎖座波 ページ34

正体不明、天才歌い手レイ。
その素顔は謎に包まれたままで明かされていない。
性別、年齢、生年月日、出身地、家族構成……何一つとして明かされて居らず、ただ動画投稿と毎日のツイートのみが唯一の情報源だった。
だが、動画では地声がどれだか分かっておらず、女声や男声…どんな声でも多種多様に出してしまうのだから尚更詳細が掴めなかった。

と言うのも三年前の話。
歌い手レイは女性であり、現在年齢22歳。超古参の歌い手リスナーでありながら、天才歌い手と言われる程の実力者である。

そんな彼女は今。
約半年間の活動休止中であった。


*****


「A、明日いよいよライブやけど、声の調子とかどう?」


活動休止の理由も「とある有名歌い手との交際を始めると炎上したから」というものだった。
相手も相手で、超有名。
浦島坂田船のセンラと言う超大手歌い手。
彼に恋心を抱いているリスナーからの攻撃や、私に恋心を抱いているリスナーから彼への攻撃等多数。
そして発端は、一年前に彼の方から告白をされて、無事交際スタート。


「センラさん、それはいいけど緊張が…」

「俺も緊張してるで。でもAとやから大丈夫な気がするわ」


サラッと何気なく私の心臓を撃ち抜くようなセリフを言う。
まぁ、私も彼と一緒だから安心しか無いのだが。


「ツーマンとかほんま夢やったから嬉しいわ〜」

「センラさん!それ!私も!ずっとセンラさんが好きで、ずっとずっとこんな事してみたくて…でも、センラさんはお仕事忙しいから無理だろうなって思ってたけど実現できてホントに嬉しい!」

「Aは俺の事大好きやんな〜」

「は?誰も大好きとは言ってない調子乗んな」


今日もAさまご健在で!と苦笑しつつも私を優しく見守ってくれる彼に頭が上がらない。
明日のライブも、私の活動再開を願って彼が提案してくれたのだ。
活動休止中も心ない言葉に泣いて、傷付き、何度も挫けた。
「彼女として相応しくない」「歌い手活動を始めたのなんてセンラさんに近付くためでしょ」「これ、プライベートのレイの写真だよ」だなんて私の盗撮写真を普通に流出している人まで。

家の外にまともに出ることも出来ないまま、ネットを開くことも億劫になったまま。
精神的にも苦痛になっていた私は三日や五日の間、一睡もせずに倒れると言うことが何度もあった。
だが、そんな時に支えてくれたのも彼だったのだ。


『ツーマンライブを俺らの新しい出発点にしいひん!?』


そんな綺麗な、明るい声に頷いたことが今回の私達の新たな出発点の皮切りだった。

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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年4月29日 23時

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