【志麻】いつか、あなたと/Elice ページ12
『ごめん、待たせた。』
そう言って、あなたは私を迎えに来てくれた。
暗く冷たい檻の中から、私を助け出してくれた。
いつか、あなたの隣に立つことが私の目標になっていた。
「…は？エージェントになった？」
「うん。」
「何でこんな危険な仕事やりたんや…」
「秘密。」
とあるバーで、彼とお酒を交わしながら微笑む。
反対に、彼はなかなかに苦い顔をしているがこの際見ないふりをしておこう。
彼の名は、志麻という。
表の姿は、何か歌を歌っている人。本当の姿はとある組織のエージェント。
その組織は私の父親がトップに立っているものであり、彼は父の右腕だ。
父親がそのような組織、ということもあり私は幼いころから習い事の片手間に
護身術を叩きこまれていた。また、志麻さんとも面識はあった。
父が組織のトップなんて知らない頃は本当のお兄さんと思ったものだ。
「はぁ。いくらボスの娘やからって…」
「へへ、即決するところは似てるでしょ？」
「えぇ、とってもそっくりです。」
「その口調はやめてよ…」
「いやぁ…懐かしいなと思って。」
揶揄うように笑う彼に対して、顔を赤くする。
ボスの娘、ということだからかエージェントの方々は私に対してまるで執事かと言わんばかりの
対応としてきた。もちろん、志麻さんも例外ではなくて。
それが恥ずかしいから普通に接して！なんて思春期の頃に叫んだことがある。
「にしても、高校卒業して大学行く傍らでって……」
「すごいでしょ？」
「すごいっていうか、なんていうか…成人したばっかやん。」
「それ言ったらダメだって。」
彼との年の差は確か5歳とかその辺だった気がする。
そんな年の離れた彼とここまで話す機会が増えたのはおそらく、あの事件からだろう。
父親がそう言った職業ということで、私は敵対している組織に狙われることが多かった。
今になって知った話だが、志麻さんがつきっきりで陰ながら警護していてくれたらしい。
しかし、高校卒業した直後私は敵対組織に捕まってしまった。
彼らと戦うという危険を掻い潜り、まさか独りで助けに来てくれたのが志麻さんだ。
…素直にかっこよかった、よく漫画にあるような正義のヒーローみたいで。
助けられた安堵から、彼に抱き着いて泣きじゃくりその間ずっと頭を撫でてもらえた。
そう。あの時から彼は私の片想い相手で、彼のようになりたいと憧れるようになった。
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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (
レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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