Story 7 ページ8
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( Toya Side )
俺は、Aを恋愛対象で好きになり、
誰にも渡したくないという独占欲が生まれた。
いつからそう思うようになったのか明確には覚えていないが、
Aに出会って数日経ったくらいだったのは確かだと思う。
それからか、たまにAの隣に居る彰人を酷く妬む時が増えた。
俺は誰よりも先にAを好きになったのに、
Aを彰人に取られそうで。凄く嫌に思えた。
だけど、俺は彰人はAの事を恋愛対象で好きじゃないのでは、と思った。
好きとかそういう様子を見せることは無かったから、好きじゃないとずっと思ってた。
そう思っていたから、心の中のモヤモヤが少し晴れたのに。
＿＿壁から覗けば、Aを抱き締めながら、舌を出して俺を挑発する彰人が。
その彰人を見て、醜い嫉妬心が込み上げてきた。
これでやっとわかった。
彰人はAが好き。恋愛対象で。
なら、もう容赦はしない。
俺は踵を返して、カフェへと向かった。
中に入れば、小豆沢と白石が俺を心配そうに見ていた。
先程居たミクとメイコさんは居ないみたいだ。
「あっ、青柳くん。杏ちゃんから聞いたよ。……大丈夫…？」
「…？…嗚呼、大丈夫だ。」
小豆沢が俺の顔を見詰めて問い掛けてきた。
多分、嫉妬して少し機嫌が悪い事を心配してくれたんだろう。
大丈夫と答えれば、小豆沢は安心したように胸を撫で下ろした。
「そろそろメイコさんが店閉めるって。彰人たちは？」
「あ、杏ちゃん…！」
「…！あ、ごめっ……Aたちは？」
「……カフェから少し離れたところにいる。」
「(やっば……。)」
白石の口から出た「彰人」の名前を聞いて、思わず声を低くして答えてしまった。
白石は苦笑いをしながら目を逸らして、小豆沢はあわあわと慌てている。
彰人の名前を出さないようにしてくれたのだろうか、俺を嫉妬させない為に。
「え、えっと……じゃあそろそろ、二人を呼んで帰ろうっ」
「っ、そうだね！ほらほら行くよ！」
白石は俺と小豆沢の背中を押して、カフェから出てA達の元に向かった。
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作者名：葉口 x他1人 | 作成日時：2020年10月24日 14時
