Story 5 ページ6
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( An Side )
あれから少し時間経った今も、彰人は不機嫌なまま。
冬弥はこはねと一緒にAとずっと話してるし。
彰人は外に出て一人で外の空気を吸いに行った。
出る際にAに一緒に行こうって誘われたけど、彰人はいいって答えてそのまま外に。
何で断ったんだろう、折角誘ってくれたのに。
二人になるチャンスも逃してるし…。
そんな事を思っていると、後ろから「白石。」と名前を呼ばれ、思わず肩を跳ね上がらせて驚いちゃった。
振り向くとそこには冬弥が。カウンターに座っていたAは…あれ、こはねは居るけど居ない？
「と、冬弥…どうしたの？というかAは？」
「Aなら外だ、彰人の事をずっと気にしていた。」
「そうなんだ…。」
彰人って表情とかに出やすいから、様子が可笑しいってすぐにわかる。
Aも気付いて、彰人の所に行ったみたい。
それに冬弥は、学校ではAを苗字呼びだけど、Aが居ない時は呼び捨てにしてる。
本人が居ると恥ずかしいのかわからないけど、何故か苗字呼びしてるみたい。
本人が居ないところで呼び捨てにする冬弥は、本当にAが好きなんだなってわかる。
「なあ、白石。」
「何？」
「…彰人は、Aの事が好きなんだろう。」
「…！うん、そうみたい。」
「…どうしたら、いい？」
冬弥の声は段々小さくなり、目線を落とした。
拳を作り強く握ると、もう一度私を見遣った。
「俺も、Aが好きだ。好きなんだ。…でも、彰人もAが好き。…彰人に渡したくない、勿論他の人にも渡したくないんだ。」
「冬弥？」
「…Aを取られたくない、どうしたらいい、白石。」
こんな饒舌な冬弥、初めて見た。
それにAを渡したくない想いが、凄く伝わってくる。
でもそれは優しいものではなく、何処か狂ってる様な感じで。
初めて、冬弥を「怖い」と感じた。
相手の事が好き過ぎて、閉じ込めたいとか。
よく恋愛物の小説にあるような話や、恋愛物の歌詞みたいに。
「どうしたら、いいか…私にはちょっとわからないな、ごめんね。」
「いや…俺こそ、いきなり悪い。」
「全然！大丈夫！…でも、冬弥。」
「何だ？」
「あまり…やり過ぎないように、ね。」
一応、釘を打っておこう。
冬弥が、狂い過ぎないように。
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作者名：葉口 x他1人 | 作成日時：2020年10月24日 14時
