Story 1 ページ2
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此処は神山高校。
授業終了の鐘が鳴り、部活に向かう者、寄り道する者、そのまま家に帰る者とそれぞれだった。
教科書やノートを纏めて鞄に入れて帰る支度をしていると、「Aさん。」と声を掛けられる。
見上げると、青と水色の髪をした少年「青柳冬弥」が居た。
「冬弥くん、どうかしたの?」
「今日用事がなかったら、一緒にセカイでメイコさんのカフェでゆっくりと話をしないか?」
「メイコさんのカフェ……。」
顎に手を当てて考える。
今日の予定は何もない。
課題もそんなに量は多くなく、見たいテレビも急ぎの用事もない。
Aは頷いて「いいよ。」と答えると、冬弥は小さく口元を緩めて「ありがとう。じゃあ着替えたらセカイで待ってる。」と述べ、Aに軽く手を振って教室を出ていった。
Aも肩に鞄を掛け、教室を出るとオレンジ髪の少年が腕を組みながら壁に寄り掛かっていた。
「東雲彰人」だ。
Aが出て来るのを待っていたのか、
Aが教室から出てきたのを見れば「やっと来たか、」と小さく溜息混じりに呟いた。
「A。」
「東雲くん……どうしたの?」
「……また苗字かよ。」
彰人は小さな声でボソッと呟いた。
その言葉はAの耳には届いていないのか小さく小首傾げると、彰人は左右に顔を振った。
「何でもねえよ。……で、冬弥と一緒じゃねえのかよ。いつも一緒に帰ってるだろ。」
「天馬先輩に借りた本があったみたいで、それを返しに行ったらしいよ。」
「へえ……。んじゃ、Aは一人?」
「うん。」
Aがそう答えると彰人は何処か嬉しそうに口角を上げると、Aの肩に腕を回して、優しく肩を抱き寄せた。
「っ、東雲く……。」
「どうせまたメイコさんのカフェに行くんだろ?オレも行くから、着替え終わったらそのままセカイに行かねえで家で待ってろ。一緒に音楽ショップ行きたいし。」
「わ、わかったから離れてよ……!」
「ホント、Aって恥ずかしがり屋だよな。」
彰人は笑いながらAから離れると、「一緒に帰るぞ」と鞄を肩にかけ直しながら前を歩いていく。
Aは頬を少し赤らめながら溜息を小さくつけば、そのまま彰人の後を追った。
「(冬弥なんかに、Aを絶対に渡すかよ。)」
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作者名:葉口 x他1人 | 作成日時:2020年10月24日 14時