秘密の扉から会いにきて 2 ◆SZ短編集◆ (ページ5)

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愛ゆえに人は悲しまねばならぬ！愛ゆえに人は苦しまねばならぬ！【5】ページ5

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握手を終え、会場から出ると落ち着かない様子でそこら辺をうろうろしている中島を一目で発見した。

「中島！」

そう声をかけながら近づくと、やつははっとした顔をしてすっ飛んできた。

「どうだった⁈どうだったんだよ‼︎」
「こうだったよ」

俺は袖をまくり左腕を中島の目の前にかざした。

「……‼︎」

俺の真っ白でつやつやした皮膚を目の当たりにすると

「やっぱり！やっぱりいづみんは俺の天使だったんだ！」

やつはうれしそうに目を輝かせながらその場でぴょんぴょん飛び跳ねた。

「そうだよな、そうだよ……ははは、ははははは！」

そして涙を流しながら喜んでいた。

「…………」

そう、これでよかったんだ。
これで。

俺は中島に気づかれないようにそっと右手に手袋をはめる。
かゆくてかゆくて、仕方がなかった。

中島にこの残酷な事実を突きつける事は出来ない。
この事は俺の胸の中だけにしまっておこう。