違う世界で君を。 (ページ1)

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Dear.1－記憶－ページ1

－『ちゃんとした人間になったら、絶対迎えにいくから待ってろよ。その時は一生離さないからな。』－

私は今でも君のその言葉が忘れられないでいる。

天月奏美20歳。現役美術大学生。

何故、私の目から液体が溢れ出ているのだろうか。

『え！？奏美どうした？』
同級生の友人が怪訝そうに聞いてきた。
『え？大丈夫w』
私が満面の引きつった笑みを浮かべてる隙に友人が、私が手に持っていた紙を奪った。
『そうだ、あの人のこと書いてたんだよねwてかまだあの人のこと好きなの？w』
そう、私達は中学生の時に、成人式での自分に手紙を書いたのだ。
私は好きな人への想いを書いた。

私は、『どうだろうねw』と言った。
顔が赤いのは目から液体が流れているからか、それとも、こんな黒歴史を思い出してしまったからか？
いや、体が暑いから熱でもあるのかな？
…そんなことはどうでもいい。
私はまだ手紙を最後まで読んでいない。
読み終わったら、また君に会いたい気持ちが抑えきれなくなるだろう。
でも私は読んでしまった。あの頃に戻りたかったから。

－「僕は信じてる、世界には愛しかないんだ。」なんてハマってたアイドル曲のセリフを書いてある。
嫌だったこと、我慢してたこと、言いたかったこと全部この手紙に書いてた。

そんな内容の手紙の中で一番多く書かれていたのはやはり君だった。

「君が言った、とても嬉しかった何気ない言葉。」今でも鮮明に覚えてる。君は綺麗に覚えてないだろう。

「好きな人が私を救ってくれたこと。」私は、君に会って変わった。変わりすぎてしまった。
人間不信になっていた私を君は救ってくれた。

そんな話を君以外誰も知らない。
そんなことがあった事も君は忘れてるんだろう。

ふふっ
自然と笑みがこぼれるのと同時に、液体がこぼれ落ちた。

「君に会いたい。今すぐ会って抱き締めたい。
もう大丈夫だよって言って強く抱き締めたい。」
「この手紙を読んでる私、今、同じ気持ちですか？」
同じ気持ちだよ。
「同じ気持ちなら今、電話してください。」
私は躊躇ったが、携帯電話を取り出して君に電話をかける。
『プルルル… おかけになった電話番号は、現在使われておりません』
…何回やっても繋がらない。
私は、繋がらないケータイに1人で話しかけてる。
『ごめんね。会いたい。会いたいよ…』

出ないのは当然だ。

…君はもう居ないのだから。