恋はミルクティーのように (ページ6)

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You side

ホールの仕事も慣れて来て、
コーヒーや紅茶の作り方を
ある程度理解し始めた日に
彼と出会った。

「ミルクティー１つ、ミルク多めで」

そう言って彼はマイボトルを
私に差し出した。

黒い服に黒い帽子黒いマスク。
この人暑くないのかな、なんて思いながら
マイボトルにミルクティーを入れていく。

「ミルク多めってこのくらいかな」

マニュアルよりも多めにミルクを入れる。
少し横目に見てみると
彼は砂糖を1本取っていた。

「どんなけ甘党なの」

くすくす笑いながら
彼にマイボトルを渡す。

「ありがとうございます」

彼の目は弧を描いて、少し微笑みながら
帰っていった。
私も軽くありがとうございました、と
告げて、レジのトレーを前におこうとしたら
彼がスマホを置いて帰っていた。

私はすぐにレジから出て
彼の元へ走って行く。

「お客様、待ってください」

私が大声でそう言うもんだから
彼はびっくりしたのか
ぎこちなく振り返った。

「スマホ、お忘れでした」

そういうとズボンとか鞄をガサガサ
漁って、私の持ってるスマホが自分のもの
だと気づいた彼。

「すみません、ありがとうございます」

「いえいえ、お気をつけください」

必要最低限の会話をして
彼が隣の事務所に入っていくのを見送った。

私と彼の初めての出会いだった。

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