天才【BTS】 (ページ3)

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韓国人の僕には当たり前ながら兵役の義務があり、外国で永住権でも手に入れれば行く必要もないのだが、そうすると、僕が韓国人であることを否定されそうな気がして、今のうちに兵役に行ってしまおうと思ったからだ。

決してあの国に執着があるわけではないが、種族の壁は大きく、僕が韓国人であるからには、韓国人としてしか生きられず、韓国人としての義務を全うしなくてはならないと思った。

7年ぶりに降り立つ祖国の地、記憶がなくなることのない僕は、何が変わり、何が変わっていないのか一目で分かるし、それが何だか悲しかった。

久しぶりについた家は相変わらず威圧感たっぷりで、重厚な扉は硬く閉まり、自分の存在を拒絶しているように見える。昔は怖かったそれが、今は何も感じないということはやはり自分が成長したということなのだろうか。

他人のようにインターフォンを鳴らす。

今考えれば、あの人達と僕は家族ではなかったのかもしれない。
あの人達の家に僕が居候しているだけ。
関心を向けられることはなかったけど、お金はくれた。

兵役に行くという旨をあの人たちに伝える。
ただそれだけのこと、今更何とも思わない。

扉が開いて、家の中に一歩踏み入れる。
足を進めて、玄関を開ける。
靴を脱いで、階段を上り、あの人たちのもとへ。

ノックをして声をかければ、7年前と何も変わらない声。

入ってみれば7年前と変わらない姿をした両親がいる。

『用はなんだ？』

「いえ、兵役に行くことを決めたのでそのご報告をと思いまして、」

『それがどうした』

「どうしたって、それは」

『報告なんてしなくていいわよ。早く行きなさい？２３歳で行くなんて、遅いじゃない。近所の子はみんな大学のうちに行っているのに、まったく』

態度も何一つ変わらない。
１５歳、アメリカに旅立つのを決めて、勇気を振り絞って報告をしたあの時。
あの時と何ら変わらぬ両親に少しほっとした。

今更優しくされたら、きっと僕はその全てを拒絶してしまうから。