天才【BTS】 (ページ11)

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作業室に入って数時間が経った頃、部屋とマンションのフロントを繋ぐ電話が鳴り始めた。電話に出てみると、僕への来客があるとのことで、心当たりはもちろんあるけど、こんなに急に来るとは思っていなくて困惑した。

フロントへ行くために作業室から出てみれば、太陽は高く昇り、ニューヨークの街も朝の静けさはなくなり、車の音が鳴り響いていた。

一応人に会うわけだから、服装を整える。黒のダメージジーンズにノースリーブのパーカーを着て、髪型をチェック、いつもついてるピアスも確認したら、靴を履いて家を出た。

家はマンションの43階にある。エレベーターが来るのを待つのも、乗って降りるのも時間がかかるので、自分的にはもっと下の階で良かったのにと思っている。

だんだんと下の階に降りるにつれて知らない人に会うということに対する不安が大きくなる。どっちにしても、部屋に案内したら、新しく買ったマンションに移動して、そっちで生活することを心に決めた。

数分かかって1階に到着したらフロントへ向かう。ロビーには大きな荷物を持った集団がいて、騒がしかった。

『A様。呼び出してしまい申し訳ございません。急な来客だったため、お許し下さい。
こちらにいる方々がA様のお客人です。心当たりはございますか？』

「ああ。」

『では、証明として、こちらの書類にサインをお願いいたします。』

初めて見る書類に、人が来るだけでこんなことをしないといけないのかというめんどくささを感じながらも、書き慣れた英語でのサインを済ませた。

『サインをしていただきましたら、カードを発行致しますので、マンションに入る場合、確認のため、こちらを提示していただきます。』

僕の、というか父の客人にフロントの人はマンションの入る時の説明をしていた。

僕には関係ないその説明を左から右へ流して聞いていると、ふと視線を感じて、そちらに目を向けると、背の高い派手な髪色をしたイケメンがこちらを見ていた。

表情がぽかーんとしていてなんとも言えないけど、とりあえず面白くて少し笑ってしまった。すると、パッと目を逸らされてしまった。なんでだろう。まあ、いっか。