#35 ページ35
「……んで。どうして裁縫道具が必要なんだ？」
仏頂面のジフンに持ってきてもらったのは裁縫道具。
お礼を言って彼の手から奪うように取ると、彼に背を向けてベッドに座った。
針を手に持ち、
「それ、ジュンフィ先輩の」
背後からわたしの手元を見るジフン。
「……それ、故意だよな？」
無視して、以前の姿を取り戻すために布を縫い合わせ始める。
うるさい。どっか行って。
今までコンピューター相手の事しかした事がないから、集中力が必要なの。
「先輩の宝物だったんだぞ」
「……」
「妹の形見。お守りにってデスクに飾ってたのに、どうしてお前にやったんだろうな」
「どうだっていい。邪魔だから出て行ってよ」
苛立ったような口調で言うと、「はいはい」彼は部屋から出て行った。
手先は器用なんだから、復元できる自信はある。
形見、か……。罪悪感に似たような気持ちを覚えた。
って、何それ。首を横に振った。
わたしは悪くない。あの時、しつこくわたしに声をかけたあの人が悪い。
あの人が、わたしをイライラさせたから、ちょうどよく八つ当たりにできる物をくれただけだ。
苛立ちながら手際よく針を進めていく。布を裏側にして縫い進め、閉じようとした所で布を隙間から引っ張ってひっくり返せば縫い目が見えない。
手縫いだと限界があるけど、元通りに近い形になってきたぞ。
無茶苦茶に破ってしまったせいで顔や体にと、あり得ないような場所に縫い目があるのは仕方ないとして。
綿を詰めて縫い目を完全に縫い終われば、完成だ。
「うん。上出来〜」
両手でそれを掴み、上へ掲げる。
なんかもっと不気味になった気がするけど、気にしない気にしない！
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菜々子(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます！！更新頑張ります！！ (2020年8月9日 21時) (
レス) id: 276cf1906f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - わー、このお話ドタイプです、、、続き楽しみにしております！ (2020年8月9日 21時) (レス) id: fc1cb3405c (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - yuiyui160120さん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2020年8月9日 15時) (レス) id: 276cf1906f (このIDを非表示/違反報告)
yuiyui160120(プロフ) - とても面白くて続きが気になります！更新楽しみにしています！ (2020年8月9日 15時) (レス) id: e8590fba58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々子
| 作成日時：2020年8月7日 17時
