#137 隠れ樹�� ページ37
_______
20██/██/██、SVT-0211-1へと通じる時間が日本標準時における16時ちょうどから、おおよそ30秒もの間になっていることが判明しました。
_______
「久しぶりね」
再び、わたしはこの地を訪れた。彼は親しみのある笑顔を浮かべていた。
「久しぶりですね、博士。今日もインタビューしに来たんですか？」
「うん。早速だけど、質問してもいいかな？」
「もちろんです」
「最近、ここに通じる時間が延びてきているんだ。何か心当たりはないかな？」
「……ありますよ。多分、僕が原因かと」
「君が？」
「そうです。ずっとここにいて分かったんですけど、僕はこの場所の親木みたいなものなんだと思います。この場所の親木に僕が選ばれた。だから、この場所の親木の僕が消える事で、ここも消えてしまう。そういう事だと思います。ここに通じる時間が延びているのは、その前兆だと思います」
チャンはどこか寂しそうな表情でそう言った。
色々と気になる事があるが、まずはひとつひとつ質問していく事にした。
「親木に選ばれるとは？」
「ここに来た時、みんなが言っていたんです。「今回は君が選ばれた」。最初は意味が分からなかったんですけど、最近そういう意味だって理解できたんです。詳しい事や僕が選ばれた理由は分かりません……」
「……君が、消えると言うのは？」
「ここにいるみんなは、ずっと隠れているわけではないんです。……ある時、みんなを失くしてしまった人が亡くなってしまう時に、消えてしまうんです」
つまり、彼が消えかかっているという事は、彼もまた、ここに隠れているみんなと同じ誰かが「失くしたもの」。
彼を「失くした」誰かが、亡くなりかけている……。
「……何となくですけど、自分がもう少しで消えてしまうと感じる事が出来るんです」
「それは困るな……。わたしたちは、君やこの場所を確保し、収容し、保護しなければならない。だから、消えてしまうのはこちらとしては困る。君が消えないように、わたしたちで善処させてもらうよ」
「ありがとうございます。A博士」
柔らかな笑みを浮かべたチャン。穏やかな笑みだった。
_______
終了報告書:今回のインタビューでSVT-0211-2が消滅しかかっていることが、SVT-0211の異変の直接の原因となっていることが分かりました。SVT-0211が消滅の危機にあるとして、その原因となるSSVT-0211-2の消滅を防ぐため、調査を進めていきます。
_______
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハユン(プロフ) - とても素敵な作品なので、いつも更新を楽しみにしていました！番外編も気になります！これからも応援しています！ (2020年10月19日 12時) (
レス) id: cedab10ae6 (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - ゆみんさん» コメントありがとうございます！返信遅れてすみません(･･;)これからも更新頑張ります！ありがとうございます(*'▽'*) (2020年10月14日 19時) (レス) id: 8094e33bac (このIDを非表示/違反報告)
ゆみん(プロフ) - 菜々子さん初めまして。いつも楽しみにしています。btsとsvtをうまく取り入れていて、読んでいて飽きません。これからも応援しています。 (2020年10月11日 14時) (レス) id: 158a35186c (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - ちゃこさん» コメントありがとうございます!返事遅れてすみません･･･ジュンフィくんは妖精にすると決めていたんです^^更新頑張ります！ (2020年9月28日 21時) (レス) id: 276cf1906f (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ(プロフ) - 占ツクにはなかなかない感じの作品でとっっっても面白いです！妖精むんじゅにがかわいくてかわいくて、、、次の更新も楽しみにしてます！ (2020年9月25日 20時) (レス) id: fb7037f466 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜々子
| 作成日時：2020年9月8日 23時
