#133 隠れ樹�� ページ33
ジョングクSide
振り返ると、もうAはいなかった。
景色は変わっていないはずなのに、異常性のあるこの空間は同じ景色を維持したまま、俺を別次元へと飛ばしたらしい。
記録によれば、この空間で男の子と出会ったと記述されている。
「おにいさん、初めまして。迷い込んできたんですか？」
友好的な態度で、俺に近づいてくるSVT-0211。見た目は人間の10代後半の男だ。
「初めまして。多分、迷ったかもしれない」
「そうなんですね」
「君、名前は？ 俺はジョングク」
「名前かあ。覚えていないんですよね」
彼は困ったように笑う。
「それなら、名前をつけてやる。チャンっていうのはどう？」
「いいですね。気に入りました。……かくれんぼしませんか？」
「うん。いいよ」
「やった」パッと明るい笑顔を見せる彼。
「じゃあ、ジョングクさんが鬼で。僕が隠れます。探してくださいね！」
嬉しそうにどこかへ駆けて行く。俺は目を閉じ、何秒間か数えた。
そして、数十秒経ったので彼を探しに行った。すぐに彼を見つけた。大きな木の裏で膝を抱え、丸くなっていた。
「見つけてくれてありがとうございます。コレ、あげます」
彼は両掌を差し出した。しかしそこには何もない。
俺は何も失くしていなかったのだろうか、そう思った瞬間だった。
『ジョングクくんは将来有望でしょう』
『どうしてあんたなんか生まれてきたんだ！』
『お前はただ、俺たちの言いなりになれ。そうだ、ロボットになるんだ』
「……君は、俺に
「“見つけてくれてありがとう。本当の自分をさらけ出していいんだよ”」
その言葉だけ、彼は誰かの言葉を代弁しているように聞こえた。刹那、彼は霧のように消えてしまった。
「ジョングクさん！」気が付けば、元の世界に戻っていた。彼女が俺を呼んだ。
吐き気を感じた。久しぶりの感覚が戻ってきたせいだろうか。
「大丈夫ですか？」彼女の心配した顔が見える。
気づいたら、俺は涙を流していた。
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ハユン(プロフ) - とても素敵な作品なので、いつも更新を楽しみにしていました！番外編も気になります！これからも応援しています！ (2020年10月19日 12時) (
レス) id: cedab10ae6 (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - ゆみんさん» コメントありがとうございます！返信遅れてすみません(･･;)これからも更新頑張ります！ありがとうございます(*'▽'*) (2020年10月14日 19時) (レス) id: 8094e33bac (このIDを非表示/違反報告)
ゆみん(プロフ) - 菜々子さん初めまして。いつも楽しみにしています。btsとsvtをうまく取り入れていて、読んでいて飽きません。これからも応援しています。 (2020年10月11日 14時) (レス) id: 158a35186c (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - ちゃこさん» コメントありがとうございます!返事遅れてすみません･･･ジュンフィくんは妖精にすると決めていたんです^^更新頑張ります！ (2020年9月28日 21時) (レス) id: 276cf1906f (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ(プロフ) - 占ツクにはなかなかない感じの作品でとっっっても面白いです！妖精むんじゅにがかわいくてかわいくて、、、次の更新も楽しみにしてます！ (2020年9月25日 20時) (レス) id: fb7037f466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々子
| 作成日時：2020年9月8日 23時
