クズは一途でもお断り［MINGYU］ (ページ40)

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A「た、高…」

ウォヌ先輩に連れて行かれたのは、私の家から15分くらい歩いた場所にある大きなマンション。
ここって確か、土地開発が始まった時一番最初に建てられたマンションだよね？
VIPしか住めないっていう、ここらじゃ有名な…
ウォヌ先輩はエントランスに入り、エレベーターのボタンを押した。

A「先輩ってこんなところに住んでたんですね…」
WN「うん。知らなかった？」
A「知らなかったです、ていうか、VIPしか住めないマンションって聞いたことあるんですけど」
WN「俺のじいさんが住まわせてくれてるんだよ。じいさん、うちの会社の社長だから」
A「……え」

社長がウォヌ先輩のお祖父さんってこと？
確かに、社長の名前はチョンだったような気がしなくもない。
ウォヌ先輩って御曹司だったんだ……
そんな社内にも公開されていないような大きな情報、私なんかに言っていいのかという疑問はあったけど、聞いてしまったものは仕方ない、よね？
エレベーターはどんどん上がっていき、12階に着いた。
ウォヌ先輩は、エレベーターホールから少し歩いた先にある大きな扉を開けた。
たまに別次元にいるような人だと思ったことはあるけど、本当に別次元にいる人だったとは……
先に中に入っていくウォヌ先輩を、つい目で追いかけてしまう。

WN「入らないの？」
A「あ、えっと…お邪魔します…」

こんな豪華な部屋、見たことがない。
インテリアはモノクロで整えられているし、外の景色もすごく綺麗。
VIPしか住めないマンションって、こんな感じなんだ…
私が感動していると、ウォヌ先輩はリビングから繋がる小部屋のドアを開ける。
明かりを付けると、簡易ベッドと低めのテーブルが置いてあった。

WN「滅多に使う人いないけど、ここが客間だから好きに使って」
A「え、いいんですか？」
WN「ダメだったらここまで連れてこない」
A「……ありがとうございます」

ごく普通の先輩と後輩なのに、家に泊めてくれるなんて、さすがに優しすぎない？
なんでウォヌ先輩はこんなによくしてくれるんだろうか。

WN「お前は俺に初めてできた後輩だから」
A「えっ」
WN「「え」って何だよ、答えてやったのに」
A「あ、え、声に出てました…？」
WN「思いっきり出てた」
A「……すみません」

" 初めてできた後輩だから "って、なんだか意外な理由だったけど、大切にしてもらっているのが伝わってきて、純粋に嬉しかった。