#7ジョンハン ページ7
彼女が運ばれた病室へ入ろうとしたのと同時に、扉が開いた。
今まさに、彼女が部屋から出ていこうとしていた瞬間だった。
彼女は驚いたように目を大きくさせると、すぐに俺の側をすり抜けていこうとしたので、咄嗟に肩を掴んで引き止める。
どうやら、誰もいない隙に出ていこうとしたようだ。
「まだ体調良くないんですよね？ 部屋に戻りましょう」
俺は無理やり彼女を部屋に連れ込むと、彼女をソファーに座らせた。
彼女は黙ったまま、テーブルを見つめている。
俺は先程買ってきた水を彼女の前に置いた。
「まずは、俺を助けてくれてありがとうございました」
彼女は黙ったまま、俺を見た。
「病み上がりで申し訳ないんですけど、さっきの黒い影って何なんですか？」
「……さあ」
ようやく口を利いてくれたかと思えば、素っ気ない言葉が帰ってきた。
「あなたが倒してくれたじゃないですか。あの影の正体をご存知なんですよね？ アレがアイドルの殺人事件を起こしている犯人なんですか……」
「お取り込み中失礼するよ」
彼女に止めどなく疑問をぶつけていると、いつの間にかひとりの男性が窓際にいた。
不審者かと思ったが、彼女は彼を見るとホッとした表情を浮べる。
「ソラが世話になったよ」
「え？」
「そっか。まだ自己紹介は済んでないんだね」
「おほん」と小さく咳払いをする彼。
「初めまして。ユン・ジョンハンくん。僕はジョシュア。そして、彼女はソラ。彼女は愛想悪いけどいい子だから仲良くしてやってね」
ニコリ、と微笑むジョシュア。
俺の名前を知っているのは、きっとネットか何かで見かけたからだろう。
「ジョシュアさん。わたしは仲良くする気はありませんよ」
「そんな事言わないの。ジョンハンくん、お怪我はないかな？」
「俺は平気です。……彼女の方が重症です」
「重症？ 大したことないよね、ソラ」
「もう治りました」
え？
どういう事かと思えば、彼女は折れていたはずの足首を回して見せた。
一瞬で怪我が治ったのか……！？
「……んで。君に重大なことを訊かなければならないんだ」
「ちょっ、今のって……！」
俺が混乱しているにも関わらず、ジョシュアは俺に1歩近づくと笑顔で質問する。
「君は、
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
