#41あなた ページ41
1年後。
「……正式に、僕たちは解散することが決定しました」
静かにジョシュアさんはそう言うと、わたしたちひとりひとりに笑顔を見せた。
最後の会議だった。
この1年間、シャドウの目撃情報や被害の報告はされなかった。
そのため、この組織を動かす必要のないと判断され、正式に解散することとなったのだ。
「各自手続きは早急に済ませること！ そこから先は自由だよ」
「ジョシュアさんは何するつもりなんですか？」
ジュンさんがそう尋ねる。
「知り合いが孤児院の職員を募集してるって言ってたから、そこで働くつもりかな」
「もしかして、僕がいたところ？」
「そう。人手不足なんだって」
「僕も一緒に行っていいですか？」
「もちろん。話をつけておくよ」
ジョシュアさんとジュンさんの第二の人生は決まったようだ。
「バーノンは何をするつもりなの？」とジュンさんは彼に話を振る。
「僕は世界旅行でもしながらやりたいことを決めます。まさかシャドウが消える日が来るとは思っていなかったので」
「いいね。僕も旅行行きたいな」
「じゃあ一緒に行きましょう」
「やった！ エジプトとか行ってみたいんだよね〜」
旅行の話に花が咲いたジュンとバーノン。
無言で部屋を出ていこうとするエイトを呼び止めた。
「エイト。あなたはこれからどうするの？」
「何も決めてない。……君は？」
「真面目に学校に通ってみようかなって思ってる。ジョシュアさん、退職金はたんまりくれるって言ってたし」
「……学校か」
「うん。決まってないなら、一緒に通ってみない？ 勉強しながらやりたいことを見つけるの」
「確かに楽しそう」
「じゃあ決まりだね。あ、わたしは名前を決めないと……」
わたしは死んだことになっている。
死んだはずの人間の名前を使うわけにはいかないので、第二の人生を歩むための名前を考えなくてはならない。
「ジョンハンさんに考えてもらえば？」
エイトがそう提案してくれる。
「せっかく家族と再会できたんだろ。とびっきり可愛い名前をもらって来いよ」
「……うん。そうだね」
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
