#39ジョンハン ページ39
ジョシュアさんが部屋から出て行った直後、Aは目を覚ました。
そしてすぐ起き上がろうとしたのだけど、俺の姿を見て体を硬直させる。
「どうして」と言いたげな顔だ。
「俺の後をつけていたのか」
「……命令なので」
「そういうのやめてくれない？」
目を大きくさせる彼女。
「分かっているけどさ。なんか嫌なんだよ。……突き放されている感じがして」
「……ジョンハンさん」
「俺は、もう逃げたくない。家族からも、お前からも」
そう言うと、Aは布団を握りしめ、顔を俯かせた。
「お前の気持ちは理解してあげたい。恋人の敵討ちのためにお前は俺たちと縁を切った……。それほど、ヨンスのことが好きだったんだろ？」
少し間を置いて、静かに頷くA。
誰にだってあるのかもしれない。人生を変えてしまうくらい、狂おしいくらい誰かを好きになることは。
「でも、俺はお前との関係をイチからやり直したいと思ってるよ。お前がヨンスのことを大事に思っているように、俺もお前のことが大事だ」
「……できるのかな」
彼女は震える声でそう尋ねた。
俺はAの手を握る。
「どれだけ離れていても、お前とは家族なんだ。最初はそんなつもりはなかったけど、途中からお前は仕事だとかこつけて俺のことを守ってくれていた……。少なからず、俺のことを大事だと思っているんだ。そうだろ？」
「……なんでも見透かすね。お兄ちゃん」
Aは涙を流し、ほほ笑んだ。
俺の妹の顔だ。
「ようやく言ってくれたな」
俺はAを思いっきり抱きしめた。
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
