#37ジョンハン ページ37
テヒョンが言うには、人気のない隠れ家のレストランがあるとのことなので、大人しくついて行った。
しかし、それにしても森の奥のほうへと向かっているような気がするけど……。
大丈夫なのか、と不安を抱いていると、急に彼は立ち止った。
「……しよう」
「え？」
「契約しよう、ジョンハン」
その声色は、テヒョンのものではない。
年老いたお爺さんのようなしわがれた声……聞き覚えのあるこの声は……。
「シャドウ……！」
まさか、テヒョンに憑いていたのか！？
「忌々しいあの小娘の血が流れているお前の血肉には興味がない。だが、お前は大変美しい容姿、声……我々が欲しているものを持っている。本来は食らいたいが……契約をするとなれば、命は助けてやろう」
「……なんなんだよ、お前」
「コイツは既に契約をしている。我々の食糧のために働いてもらっているのさ」
「意味分かんねえよ。ちゃんと説明しろ」
「簡単に言えば、コイツは我々と契約し、命は助けてやっている。その代わり、お前たちのような美しい食糧を集めてもらっているのだ」
そして、シャドウは今のBTSがトップアイドルの地位を築けているのは自分たちのおかげで、彼らに憧れた美しい人間たちを集めさせているのだと。
こうすることで、効率よく食糧を集めることができている……らしい。
「お前は我々の存在を認知している。本来ならば殺さなければならないが、契約することで生かしてやると言っているのだ」
「……断ったら？」
「仲間がお前の血肉を喰らうだけだ」
契約をすれば命は助かる。しかし、他のアイドルが犠牲になる。
……アイツの恋人もそうだったのか？
「俺は……」
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
