#26ジョンハン ページ26
「あ、ソラ」
「ひとりで行動しないでって、言ったじゃないですか!」
珍しく大声で俺を叱る彼女。
思わず驚いていると、ソラはハッと我に返った。
「すみません。大声を出したりして……」
「ううん。俺が悪かった。単独行動は禁止されているのに」
「……なんで単独行動をしたんですか」
俺に懐中電灯を持たせながら、彼女は問いかけた。
「コレ、探してたんだ」
ブレスレットを明かりに照らして見せる。
「妹とお揃いなんだ。コレは命よりも大事で……ごめん」
「……そうですか」
俺は彼女の後ろをついて行く。
そういえば、彼女は何歳なんだろう。
妹が生きていたら、同じくらいかな。
その時、彼女が歩みを止めた。
「どうしたの?」
「シャドウがいます。……しかも、はるかに予想を超えた数」
「え……」
「どうやらこの島には、シャドウの巣窟があったようですね。向こうにはジョシュアさんたちがいるので大丈夫かと思いますが、こちらは太刀打ちできなさそうです」
「……俺が単独行動したせいで」
「いいえ。わたしの力不足です。……仕方ない」
Aは深く呼吸を吸い込むと、俺を肩に担ぎあげた。
「ソラ!?」
「少し我慢してください」
かと思えば、急に走り出した。
とんでもない速さだ。口を開ければ舌を噛んでしまいそう。
振り返ってみたいけど、そうしなくても分かるくらい大量の足音が聞こえる。
シャドウが追いかけてきているんだ。
大人ひとり……しかも、成人男性を抱えてこんなにも早く走れるだなんて。
この間、俺は何もできないために彼女にされるがままだ。
しかし。
急に足を止めたソラ。
ふと顔を上げてみると、崖の先で、下は海だ。
「ソラ。お前泳げないだろ」
「……なんとかなりますよ」
彼女はじっと海を見つめ、それから背後を見る。
ひとつ頷くと、彼女は。
「できるだけ息を吸ってください」
「え……!? 飛び込むのかよ!」
「吸わないと死にますよ」
「わ、分かった……」
俺は大きく息を吸うのと同時に、彼女は崖の下へと飛び降りた。
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作者名:菜々子 | 作成日時:2022年11月22日 19時