#24ジョンハン ページ24
「正直お宝には期待していなかったけど、今回は結構いいものだったな」と、満足そうにジフンが言う。
俺たちは無事ミッションをクリアし、お宝を手に入れた。
お宝というのは、商品券だった。(3万円)
正直期待していなかったので、俺たちは予想外のお宝に気分が上がっている。
何を買おうかな、とみんなで会話している時にふと気づいた。
腕につけていたはずのブレスレットがない。
気づいた瞬間、俺は歩いた道を走って戻って行った。
シャドウのことはすっかり忘れて、ブレスレットのことだけを考えていた。
あれは、命よりも大事なものだ。
肌身離さずでいたのに、今日に限って……！
焦る気持ちを抑えつつ、俺はスマホの明かりを頼りにブレスレットを探す。
そのせいで、舗装されていた山道から外れていることにも気づかなかった。
『お兄ちゃん。誕生日おめでとう』
俺が10歳の時に、お揃いでくれた手作りのブレスレット……。
どうして今こんなことを思い出すんだろう。
小さいころはよく一緒に遊んでいたのに、成長するにつれ会話しなくなって……。
家出をよくするAに強く当たってしまったこともあった。
でも、一度も嫌いになったことはない。
もっと話をしておけばよかったとか、もっと妹のことを理解してあげればよかったとか、色んな後悔が押し寄せてきた。
だけど……それを受け止められる気持ちがなくて、逃げるようにして今の世界に入ったんだ。
あまりにも毎日が忙しすぎて、こんな気持ちになる余裕なんてなかった。
「クソ……」
こんな感情になったのはかなり久しぶりで、耐性がなかったからなのか、涙があふれてきた。
必死に手の甲で涙をぬぐって、ブレスレットを探す。
それだけに集中しなければ。
しばらく探していると、茂みの間になくしたはずのブレスレットがあった。
「よかった……！」
それを抱きしめ、心底安心した。
もう二度と手放すものか。
さて戻るか、と後ろを向いた瞬間。
「……ヤベ」
正規の山道から外れていることを悟った。
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
