#20ジョンハン ページ20
「今日からお世話になります。エイトです。よろしくお願いいたします」
そう自己紹介をし、深々と頭を下げる彼。
今日だけソラは、お休みを取っていたそうだ。
そして、代わりに来たのがモデル体型で顔立ちの綺麗なエイトだった。
そういえば、彼とはサイン会以来だったかな。
「よろしく！ 君、細いけど戦えるの〜？」
緊張を解いてやろうと、茶化すソクミン。
エイトは返事をしない。
なんかソラよりも難しい性格かもしれないな。
微妙な空気が流れたところに、マネージャーの兄さんがやってきて俺らをバンに乗るよう促した。
みんなが練習室から出て行き、最後に俺も出ようとすると。
「ジョンハン、お前はこっちに……」
兄さんは話があるからと、この場に留まるように言った。
そして、エイトを部屋から追い出そうとした時。
彼は片手で兄さんの首を掴んだ。
「エイト！」
「う、ぐ……っう……」
苦しそうにもがく兄さん。
黙ったまま手に力を込めるエイト。
しばらくすると兄さんは意識を失ったのか、体の力が抜けたように腕をダランと下げた。
そして、兄さんの体からは黒い砂のようなものが抜け落ちて消えていった。
シャドウがいたのか……。
「ありがとう……人にとり憑いてたんだな」
「ヤツらはあなたを殺しに来てます。あなたが死なない限り、周辺の人間が傷つく。自覚して行動してください」
「う……キツいこと言うんだな」
数々の辛いことを体験してきたから、ある程度人から強く言われても平気だけど、さすがに今のは傷ついた。
自覚して行動しなくちゃいけないのは分かってるけど、俺は非力だよ。
ソラやエイトみたいに強くない。
だから、しっかりしろ、っていう意味でエイトはキツいことを言ったんだろうけどね。
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
