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「ユジ！ どこに行くの！？」
ユジが事務所の非常階段を駆け上がる。
わたしはその後ろを必死に追いかけた。
残念な事に、彼女の方が足が速くてあっという間に屋上まで登られてしまう。
ふくらはぎが腫れて痛くなっても、彼女を止めるために足を止められなかった。
嫌な予感がする。
彼女がいなくなってしまうかもしれない。
だから、止めなきゃ。
わたしが、止めなきゃ。
息絶え絶えに屋上までやってくると、彼女は屋上の柵を掴んで空を見ていた。
わたしが近づこうとすると、彼女は「来ないで」と静かにわたしを制した。
その場で足を止め、彼女に声をかける。
「ユジ。わたしは、なにがあってもあなたの味方だよ。お願いだから、そこから離れよう？ みんなの所に戻ろうよ」
「……わたしの事、必要じゃないクセに！」
彼女は振り返る。
涙を流しているのかと思っていたが、違った。
彼女は、怒りを含んだ表情をわたしに向けていたのだ。
衝撃に、目を大きくさせてしまう。
「嘘ばかり言わないで！ Aちゃんだって、あの人たちと同じようにわたしの悪口を言ってるんだ！ どうして嘘をつくの！？ そんなに、わたしの事を傷つけて楽しい！？」
「ユジ……なに言って……」
ああそうか。察してしまった。
わたしが見えない所で、あの人たちはわたしたちの悪口を彼女に吹き込んでいたんだ。
わたしたちが嘘をついている、と。
純粋な彼女の心を、黒い悪魔が真っ黒に染めてしまった。
「ユジ！ 親友のわたしの言う事を信用しないで、あの人たちの事を信用するの？ おかしいじゃない！」
「おかしいのはAちゃんたちだよ！ みんなして、わたしの事をバカにしてる！」
「してないよ！ だって、みんなユジの事が大好きだよ！！ ユジ、一回落ち着いて話し合おう？ だから、こっちにおいで？」
動くなと言われたが、そうせざるを得なかった。
わたしは彼女に手を伸ばして、近寄ろうとした。
しかし。
「わたしがいないほうが、みんなのためになるよ。みんなが幸せになってくれるなら……」
彼女が柵を乗り越えるほうが早かった。
そしてそのまま……。
「ユジ！！」
彼女の手を掴むはずだった。
なのに、わたしが掴んだのは宙だったのだ。
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菜々子(プロフ) - (名前)Jさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張ります♪ (2020年2月26日 16時) (
レス) id: 0d283c778c (このIDを非表示/違反報告)
(名前)J(プロフ) - 本当に面白いです！！＾＾これからの更新を楽しみにしています！！ (2020年2月26日 14時) (レス) id: f874e9c477 (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - すのさん» コメントありがとうございます！そんな事を言っていただけて嬉しいです♪更新頑張ります！ (2020年2月24日 13時) (レス) id: 0d283c778c (このIDを非表示/違反報告)
すの(プロフ) - 好きすぎて何回も読み返してます...！！話の中に感情移入しやすく読み返したいそんな気持ちになる素晴らしいお話です！！これからも楽しみにしてます！無理をされない程度で頑張って下さい！応援してます！ (2020年2月24日 10時) (レス) id: c28969ffcd (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - ありがとうございます(^^) (2020年2月23日 18時) (レス) id: 74e7fa000c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々子
| 作成日時：2020年2月18日 22時
