member of seventeen (ページ2)

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社長「日本から韓国へ、ようこそ。改めてこれからの君の活動について詳しく話をしようと思って呼んだんだ。よろしくね。」

「よろしくおねがいします。はじめまして、白石Aです。これからお世話になります。」

韓国語は、この話が決まってから猛勉強した。言葉の壁は心の壁。これからの生活に生じる壁は少しでも減らしたかった。

社長「一度書面で伝えてはいたが、セブンティーンというグループでこれから活動してもらう。なぜ君を選んだのか、についてだが、彼らの売りは、作詞作曲、振り付けなどの自主製作はもちろん、あのエネルギーとまっすぐさ、素直で飾らずにさわやかなところだ。でも私は、そこにミステリアスさを加えたいんだ。」

最初とは違って社長は机に身を乗り出し、目をみて、熱く話をした。そこには、韓国語を勉強したての私に対する配慮もあったが、彼らへの愛と期待、信頼がこもり、私は彼らにプラスの変化を加える存在にならなければいけないのだと責任感が膨らむのを感じた。

「君は、個人の詳細をあまり公開せずに活動する。まあ日本人ってことは公表するけど、謎のメンバーとして、男か女かもわからないジェンダーレスなところを売りにするんだ。。謎の多さを強調するんだ。安直なミステリアスだが、意外とシンプルな方がよかったりする。もっと知りたいと思わせるのはれっきとしたモテテクだぞ。それからあわよくば男性ファンが増えることも期待したい。」

まさかこのおじさんから女の子のハートをつかむテクを諭されるなんて、と少々目がしょぼしょぼしたが、フッと笑ったその顔に父性のようなものを感じて心があったかくなった。今までの人生で女の子にばかりモテて男性から好意を向けられることはあまりなかったことは内緒にしておこう。

でも、あんなに仲が良くて、お互いを家族のように大切にしている彼らの中に突然ポンと入ってやっていけるだろうか。そんな不安な心の声が聞こえていたかのように社長は続けた。

社長「この件は私のアイデアだが、メンバー全員と会議を開いて、みんなが納得したからこうして君に話をしている。安心しなさい。何かあったら私に電話していいからね。あ、それからね、」

社長から渡されたのは紺色の小さな四角い箱だった。