スパイになれなんて聞いてません！4

#177 ページ27

建物の外に出ると、みんながいた。

わたしを見るなり、「ワンちゃん！」と飛びついてくるウォヌさん。

一緒に来ていたチャンギュンさんを見ると、すぐに銃を向ける彼。



「ワンちゃんになにした！？」

「ウォヌさん。大丈夫です。彼はいい人なので」

「いい人なんて」



チャンギュンさんはそう呟いた。

その表情はとても暗い。



「僕は小さい頃から間違った生き方をしていたんだ。いい人だなんて」

「チャンギュンさん……」



「おーい！」と遠くからミンギュさんの声が聞こえる。

そのほうを見ると、目を閉じているミンヒョンさんを抱いたスンチョルさんがいて、その傍にはヒョンウォンもいた。

そして、すぐ隣にジスさんとジニさんが。

良かった、逃げきれたんだ、と一安心した。



「あと、連れ去られた子どもたちの事なんだけど」



いつの間にか隣にいたスングァン。



「責任をもってスニョニヒョンたちが僕たちの拠点に連れて行ったよ。洗脳されていたから、それを解くまでには時間がかかりそうだけど」

「そっか……」



「お疲れ様」とスングァンはわたしの肩を叩く。

顔を俯かせて動かないチャンギュンさんを見て、わたしは彼もミンヒョンさんの被害者なのかな、と思った。

幼い頃の弱さにつけこまれ、間違った生き方を教えられたんだ。

おかしてしまった罪は大きいけど、きっと彼なら更生してくれる。

ふと顔を上げて周囲を確認すると、建物の陰から出てくるホソクさんたちを見つけた。

そっちのほうに行こうとすると、わたしに気づいた彼は笑顔を向ける。



「あとは任せた」



ホソクさんは口パクでそう言うと、仲間たちと森の中へと消えて行ってしまった。

追いかけようとしたけど。



「……いいや」



その足を止めて、チャンギュンさんの傍にいた。

きっと、彼らなら自分たちで生きる術を持っているはずだから。

もしまた、世界を脅かそうとするのならば、わたしたちSEVENTEENが早急に解決すればいい。

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