スパイになれなんて聞いてません！3

#125 ページ25

「“20XX年、フランスのマルセイユにて当時7歳の少女2人、少年3人が誘拐。その一週間後にドイツ、ベルリンで8歳の少女1人が誘拐。3日後には韓国ソウル市内で10歳の少女1人、少年2人が誘拐。いずれも防犯カメラには黒色で統一された服装の男性が誘拐された児童と一緒にいる所が映っている。同一犯の可能性。”……X様は世界各国で直接子どもたちに接触しているという事ですか？」

「そうなる。こういった情報が一般人でも検索できるのだから、早急に犯人が逮捕されてもおかしくないんだが、警察内部にX様の協力者がいる。それも、警察の中でもそれなりの位置にいる人だろうから、こういった報道が行われても「捜査中だ」とコメントするだけで実際は行われていない」



ジフンさんは片手に持っていたエナジードリンクを一口飲んだ。

また、徹夜でパソコンに向き合っていたらしい。

わたしはますます、X様の事を許せなく思う。

X様は口上手く子どもたちを自分の所に来るように乗せ、もしかしたら痛い目に遭っているのかもしれない。

そう思うと、早急に子共たちの事を救いたい衝動に駆られる。

でも、X様の居場所は突き止められない。

悔しくて下唇を噛んだ。

「ひとつ分かった事が」とジフンさんは続ける。



「子どもたちには“共通点”がある」



「共通点？」とチャンくん。



「子どもたちはみんな、学校で優秀な成績を収めていた。その中には、飛び級で名門校に通っていた子も。X様は優秀な子を集めてなにかをしようとしている事しか、今は分からない」

「そういえば、ハナちゃんも勉強が学年で一番できる子だもんね」



ジュンフィさんがそう言う。

X様に狙われる理由が、頭脳の良さならハナちゃんが狙われていた理由も分かる。



「予想だけどさ」



今まで黙っていたジョンハンさんが口を開いた。

#126→←#124

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す