スパイになれなんて聞いてません！3

#111 ページ11

ハナちゃんを迎えに行き、ミオンさんが来るまで子守をする。

2人が談笑している横で、わたしはパソコンでミヨンさんにハナちゃんが帰ってきた事を報告。

ふと顔を上げて2人の様子を見る。

彼女は本当にジュンフィさんの事を気に入っているらしく、目が恋する乙女のよう。

冷めた目で見ていると、それに気づいた彼女は嫌な顔をした。

喧嘩を売るような事はせず、わたしは他にやる事があるのでパソコンで資料を整理している時。



「ごめん。僕、お手洗い借りるね」



ジュンフィさんはお手洗いに行くために部屋を出た。

彼女と2人っきり。

気まずいのか、彼女は絵を描き始めた。

何気なくパソコンの画面から顔を上げ、彼女が背負っていたランドセルを見る。

ランドセルは新品なはずなのに、最近つけられたであろう大きな傷、それにつけていたであろう熊のぬいぐるみのキーホルダーの右足が無くなっていて、中身の綿が飛び出ていた。

そして、彼女は椅子に座っていて宙ぶらりんな足の裏を見ると、違和感のあるくらい真っ黒に汚れている。

なにこれ、と思わず眉間にシワを寄せる。



「ハナちゃんさあ」



もちろん、彼女は反応してくれなかったが、わたしは続ける。



「学校でいじめられているでしょ」



彼女の絵を描く手が止まった。

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