スパイになれなんて聞いてません！3

#128 ページ28

「今回の任務は、プサンのS区を拠点とする詐欺集団の摘発の協力だ」



スンチョルさんからそう聞かされたわたしは、眉間にシワを寄せる。



「そういうのって、警察の仕事じゃないの？」



誰もが思っていた疑問を、ミンギュさんが尋ねる。



「そうなんだけど、今回の任務はちょっと事情があってね。ターゲットはキム・ゴヌ警視長なんだ。彼はこの詐欺集団のボスで署内で管理されている個人情報を使って被害を出している。この依頼は警察内部の告発だから、くれぐれも警察に知られないように摘発してほしい、と匿名で依頼された」

「なるほど。でも、匿名なら信ぴょう性がないのでは？」



ソクミンさんがそう言う。



「もちろん、証拠はある。そこまで調べて君たちに頼んでいるんだ」



スンチョルさんはホッチキスで止められた書類をわたしたちの前に差し出した。

中身にはゴヌ署長が働いた悪事を事細かに記されており、個人情報を管理しているという部屋に真夜中に何度も出入りしている様子が映し出された写真も載っている。



「この匿名の人とは接触できないのかな」



スングァンが言う。



「それはジフンが今調べている。A、ジフナを呼んできてくれるか？」

「分かりましたっ」



わたしは部屋から出ると、ジフンさんのいる部屋に駆けて行く。

部屋の前に来た時、中から大きな物音が聞こえた。

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