スパイになれなんて聞いてません！

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「え！？ なんで分かんの！？」



トレーニングルームで懸垂をしていると、スニョンさんが大声をあげた。

スニョンさんを見ると、スマホを片手にソクミンさんとスングァンくんと、なにやら盛り上がっている。



「なにやってるんです？」

「おお！ Aちゃんもやってみてよ！」



スニョンさんはわたしにスマホを差し出す。

画面にはアラブの魔神のようなキャラクターがいて、隣には《プレイ》とその下に《設定》のボタンが。



「これ、なんですか？」

「ウィキネーターっていって、簡単に言うと自分が思い浮かべてる芸能人を、このキャラに当てさせるってヤツ！ 的中率は99.9パーセントだよ」



スングァンさんがそう言う。

へえ、面白そう。

興味が湧いたので、わたしも早速やってみる事にした。

まず最初に《プレイ》のボタンをタップして、有名なキャラクターを頭に思い浮かべた。



『男性ですか？ 女性ですか？』



魔神は考える仕草をしながら、吹き出して質問をしてくる。

その下には、《そうです》《多分そう》《部分的に合っている》《ちょっと違う》《違う》などと自分が質問に答えられるシステムになっていた。

どんどん答えていくと、画面が変わった。



『思い浮かべているのは、キ◯ィちゃんですね？ サ◯リオのキャラクター……』



ドヤ顔の魔神と共にその文が現れた。

おお……！ 当たってる！

すごいけど、この魔神のドヤ顔がウザ過ぎる。



「これ、質問に答えていくうちにキャラが候補を絞り込んでるって感じですね」

「うん。でも、当たってるでしょ？」



すごいよね、とソクミンさん。

なんか悔しい気持ちになってしまい、どうにかしてこの魔神を泣かせてやろうと思い、今度は違うキャラクターを頭に思い浮かべてリベンジ。

しかし。



「……全部当てられた」




親の顔よりも見たドヤ顔の魔神。

なんか見透かされた感じがする。

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