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少し休んで体力が回復したわたしは、2時間目から授業に参加し、なんとか放課後まで静かに過ごす事ができた。
その間、ミンギュは自分の立場を守るためなのか、わたしに関わってこようとしなかったのだけど、いつ彼がわたしに声をかけてくるのか怖かったので、ひと時も気が休まる事もなかった。
神経をすり減らしながら過ごしていたので、とても疲れた。
放課後になったタイミングで教室を飛び出そうとすると、逃がすまい、とわたしの前に現れるミンギュ。
言われる事は分かっていた……。
怖かったし、行きたくないのに、あの秘密を今みんなに知られる訳にはいかない。
分かってるよね、というような表情に、わたしは顔を俯かせる。
「ミンギュ。Aさんと帰るのか?」
その時、声を掛けたのはウォヌくんだった。
思わず微かに顔を上げる。
「ああ。帰り道が同じなんだ」
「S区のほう?」
「そう」
「奇遇だな。俺も同じなんだけど、あいにく、彼女と約束があってね」
「約束?」と眉間にシワを寄せるミンギュ。
ウォヌくんとなにか約束をしたっけ……。
「そうなの? Aちゃん?」
ミンギュはわたしを見る。
もしかしたら、ウォヌくんはわたしを助けようとしているのかもしれない。
うん、と頷くと、そっか〜、と笑うミンギュ。
笑っているようだけど、きっと目は笑っていないだろうから、恐怖で顔を上げる事はできない。
「俺はひとりで帰るよ。じゃあね」
意外にもあっさりと引いてくれたミンギュは、教室から出て行った。
その場に残されたわたしたち。
わたしは帰るために一歩踏み出そうとすると。
「ミンギュに、いじめられているんだろ」
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作者名:菜々子 | 作成日時:2019年11月26日 20時