教育実習生のジス先生 (ページ30)

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ウォヌSide

翌日。

クラスメイトの誰よりも早く登校してきた俺は、勝手に触って悪いと思いながら彼女のロッカーや机の中を覗くと、やっぱりゴミや異臭を放つよく分からないものが入っていて、思わず顔を歪める。

それを素早く掃除してあげると、昨日仕掛けたどこにでもある本に扮した隠しカメラを回収する。

ミンギュのヤツ、まさか隠しカメラを仕掛けられているとは思っていなかっただろう。

証拠があれば言い逃れはできない。

Aさんは、ミンギュにいじめられていて顔がやつれていたのだが、最近はなにかいい事があったらしく、顔色が少し明るくなったように見えた。

お昼休みの時間、屋上で一緒にお昼ご飯を食べているとジス先生の話題になった。

どうやら、先週早退した時に自宅まで付き添いをしてくれてとても優しくしてくれて、それからも放課後に勉強を教えてもらったり体調を気遣ってくれる、と彼女は少し嬉しそうな顔をして言った。

なるほど。彼女の表情が明るかったのは先生のおかげだったのか……。

「それなら良かった。先生のおかげで表情が明るくなったね」

「うん……。でも、ウォヌくんにも親切にしてもらってる。ありがとう」

「俺はなにも……」

本当になにもしてない。

しているとしても、絶対に彼女には知られてはいけない。

そうしないときっと、彼女は迷惑をかけてしまったと気を負うだろう。

「そういえば、明後日は学園祭だね」

「そうだな」

俺たちのクラスでは、喫茶店を開くことになっていた。

ローテーションで行われるので、学内を回る時間は十分に確保されている。

「……ウォヌくんは、どこか回ったりするの？」

「特に決めてない」

「それなら……」

彼女は、少し頬を赤らめ、少し自信がなさそうな表情を浮かべる。

「わたしと、一緒に回ってくれる……？」

どうしてか、心臓が大きく跳ねた。

「……もちろん」

「よかった」と嬉しそうな顔をした彼女を見て、少し可愛いと思った。