教育実習生のジス先生 (ページ28)

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#28 ページ28

わたし宛に郵便が来る事は珍しい事だった。

ジス先生から封筒を受け取ると、差出人はただ書き忘れてしまったのか、それともワザとなのか、なにも書かれていない不審なもの。

「差出人がいないね？僕が確認してみようか？」

不審な手紙に、先生は心配したから言ってくれたのだろうけど、大丈夫、だと言ってその場で封を切る。

中には一枚のメモ用紙。

《あの日の事を忘れるな》

脅しとも見れるその一言に、わたしの心臓は早鐘をうつ。

あの日の事……。それはきっと、わたしの両親の事だ。

差出人はきっと、ミンギュだろう。

どうしてこんな陰湿な事をし続けるの？

彼のしたい事が分からない。

「……大丈夫？」

我に返ると、心配した顔をしているジス先生。

わたしは頭を振り、手紙をポケットに押し込んだ。

慌ててなんでもない、といった表情を浮かべる。

「大丈夫です。送ってくださり、ありがとうございました」

その場から逃げるかのように、部屋の中に入る。

……親切にしてくれたのに、あんな形で別れたのはとても印象が悪いな。

少し罪悪感を持ちながら、手紙をごみ箱に捨てた。

「……逃げられると思わないでね」

その場に残されたジス先生が、玄関の扉を憎悪を含んだ瞳で睨みつけているとは、わたしは知らない。