教育実習生のジス先生 (ページ24)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:70,221 hit

#24 ページ24

_____Side

思ったよりも仕事が長引き、真夜中にひとりで人気のない道を歩く事になった。

全く、タクシーくらい呼んでくれたっていいじゃねえか、と心の中で愚痴りながら帰路につく。

今日相手にしたプロデューサーは本当にしつこかった。

俺の事を気に入っているらしく、しきりにホテルに誘う。俺は女が好きだし、そういう事(・・・・・)に関しては間に合っている。

最近は男とツルんでいるらしいが、関係ない。アイツは一生俺の言いなりになっていればいいんだ。

本当にイライラする。ため息をもらすと、目の前から来ていた人間に気づかずにすれ違ったら肩がぶつかった。

文句でも言ってやろうと振り返ろうとした。

「振り返るな」

俺は動きを止めた。

何故なら、その声はボイスチェンジャーで変えられている不自然な男性の声だったからだ。

身に危険を感じた俺は、警察に連絡をしようとスマホの入っているポケットに手を入れた。

「なにもしなければ、お前の秘密は守られる」

「は？」

また振り返りそうになったが、相手は話の通じないイカれた野郎なはずだから返って危険だと判断し、ぐっと堪える。

「とある女子生徒の秘密を持っているな？」

俺は心臓が止まるかと思う程、驚いた。

どうして知っている、まさかアイツが告げ口したのか？

「彼女の弱みに付け込んで悪さをしているそうじゃないか」

「人違いだ」

「証拠はある」

『お前みたいな地味なヤツが優秀なのが気にくわないんだよ』

『やめて……』

『嫌っ……！』

「おい！消せよ！」

焦った俺は怒鳴った。

どういった訳かあの時、初めてアイツに声を掛けた時から今までの音声を、相手は持っていたのだ。

やっぱり、アイツが告げ口をしたんだな。怒りが湧いてくる。