FearⅣ (ページ8)

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ソクジンSide

ここはどこだろう。

何もなく、ただただ真っ白で変わらない景色が続く場所に僕はひとりでいた。

身にまとっている服を見れば、景色と同化しているかのような真っ白なもので、裸足だった。

冷んやりとした地面を踏みしめ、歩みを進める。

不思議だ……。

さっきまで息をするのも苦しいくらい、酷い苦痛を感じていたのに、今はなんともない。

体が元に戻っている……。

僕は、死んでしまったのだろうか。

「ソクジン」

後ろから誰かが僕を呼んだ。

振り返ると、驚いて目を見開いた。

「スビナ……！」

僕が初めて会った吸血鬼がいたから。

死んでしまったはずの彼と出会って、僕は確信した。

「僕、死んでしまったみたい……」

Aさん、ジョングクたちがどうなったのかも知らず、死んでしまうだなんて。

あの時、僕がしっかり彼らを引き止められれば良かったのに。

「君は元の世界に戻るんだ」

スビンはそう言って、僕の背後を指した。

「戻るって……」

「君は今、生と死の境目にいる。ここから先に行けば君を待っている人たちに会えなくなる」

「君も一緒に行くんだよね？」

彼は悲しそうに微笑みながら、首を横に振った。

「僕はもう随分前に死んじゃったから、できない」

「嫌だ……。僕の友だちを置いていけない」

彼の手を掴もうとすると、彼がその手を後ろに引いた。僕は宙を掴んだ。

「僕に触れたら、君は本当に戻れなくなってしまう。僕だって、友だちを抱きしめずにいられない……。だけど、それは叶わない事だから」

「スビナ……」

「君を待っている人たちの元に行って」

彼は何かを我慢しているように微笑む。

僕は泣きそうになりながらも、少し彼と距離を置いた。

彼はそれを見て、安心したような顔を見せた。

「初めてできた友だちが君でよかった……。また、会えるよね……？」

「うん。会えるよ。でも、それはまだ先の事だから」

浅く頷くと、彼はまた微笑んだ。

「君はよくやったよ。さすが、僕の友だち……。さようなら」

彼が手を振った。僕も振りかえし、彼に背を向けて歩みを進めた。