FearⅣ (ページ5)

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「うわっ！」彼が悲鳴を上げたかと思うと、いきなり気を失った。

ジョンハンさんが倒れようとしたので、慌てて受け止めた。
　
あまりにも一瞬の出来事で、一体何が起こったのか分からず混乱した。

「A、大丈夫か……！」

すぐにウォヌさんが駆け付けてくれ、わたしの身に寄りかかったジョンハンさんを軽々しく抱きかかえた。

そして気がついて、急いでジョンハンさんの心臓の鼓動を確認した。

「……戻ってます！」

小さい鼓動だったが、規則正しくそれは動いていた。彷徨っていた魂が戻ったのかもしれない。

ヒョヌさんいわく、何らかの原因でジョンハンさんの中にいた何者かの魂が出て行き、ジョンハンさん自体が戻ってきたのだろう、との事だった。

それならよかったのかもしれない。わたしたちはほっと胸をなでおろした。

「じゃあ、ヒョンの中に入っていた魂はどこに？」と疑問を呟くスングァンさん。

「さあ……。元の体に戻ったか、元の体が既に無くて彷徨っているか……のどちらかだな」

ヒョヌさんは何かを考えながらそう答えた。

「ジョンハンも警戒していなかった訳ではないだろうから、隙をつかれて体を乗っ取られたのかもしれないな」

そう言うジュホンさん。

「ヒョンを寝かせてくる」と言い、ウォヌさんはジョンハンさんの部屋へと移動した。

その時、「ジスヒョン、大丈夫なの？」というスニョンさんの声が後ろから聞こえたので振り返った。

彼はそのままわたしに近づくと、そっとわたしの首元に手を伸ばした。

ビックリして体を硬直させていると、彼はかけていたネックレスの飾りを手に取った。

それはオパールのように綺麗な石だったのに、いつの間にか色褪せてしまって褐色になっていた。

「あ……。どうして……」

「役割を終えたから、こうなっているんだ。この石は、持ち主に危機が迫った時に身代わりになってくれる……。太陽の光を沢山吸った石で、吸血鬼にとっては厄介なものになるんだ。たまたま、彼に何らかの形で目に入ってジョンハンの体からヤツを追い出す事ができたんだろうね」

「そうだったんですね……。でも、万が一でも皆さんの目に触れたらと思うと……」

「この石の不思議な所は、人を選ぶんだ。僕たちはこの石の影響を受けた事が無いから、平気だよ」

「預かるね」と彼はわたしの首からネックレスを取ると、それを大切に懐へしまった。

あのネックレスはジスさんの妹さんの物だった……。