俺の全部を好きになって【角名倫太郎】

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「いっぱい人おる」


「はぐれないよう気をつけて」



私の右手を角名の手が包み込む。

こういうことをサラッとやってのけるところはまじでずるい。




「あ、まってマップ取りたい」




私がそう言ったら手を離さないまま一緒に着いてくる。

顔がいい上に背も高いから角名は目立つ。でも、その角名は私しか見えてないのかもと思うとなんだか嬉しかった。




「先に何乗りたい？」


「う〜ん、コーヒーカップ」


「いいよ、めちゃくちゃ回そう」




きっと来て1発目全力コーヒーカップは間違いなんだろうなと思いながらも向かう。

あ、手汗かいてきた。




「かわいいカチューシャある。お揃いでつける？」


「お、ええやん」




コーヒーカップの前にショップに寄り道する。
空いた自動ドアから中のひんやりとした空気が流れ出てくる。

今日はめちゃくちゃ晴れてて、10月にしては暑いけれどちょっと寒いなと思った。




「どれにする？やっぱ王道行く？」


「ちょっと外れても良くない？」




結局あれこれ悩んだ結果、一番最初に目に付いた物になった。
いかにも王道！って感じでちょっと恥ずかしい気もする。

そういえばこれ、色んなカップルがつけてたな。



「A、似合ってるよ」


「え〜ちょっと子どもっぽく見えん？」


「そんなことないよ」



笑いながら言う角名はめちゃくちゃ背の高いクマだ。男子高校生が付けるとなんだかかわいさが失われるが、色白でスタイルのいい角名はそんなことがなかった。




「よし、コーヒーカップ行こうか」


「うん！」

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