俺の全部を好きになって【角名倫太郎】

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思ったより早く駅についてしまった。


集合時間は9時なのについたのは8時45分。
彼女は時間キッカリに来るタイプだし、あと15分は暇だろうな。

かなり楽しみにしていたらしい自分にちょっと笑ってしまう。こんなの侑とかに知られたらもっと笑われると思う。




「あっ、角名」




お茶でも買おうとコンビニに入ろうとすると聞きなれたソプラノが聞こえた。

綺麗にメイクをして髪も整えたAが前髪を気にしながら小走りで駆け寄ってくる。




え、さっき俺が来てから3分ぐらいしか経ってないはず。




「ごめん、待った？」


「ううん、今来たとこ」




テンプレすぎるやり取り。
それより、Aがこんなに速く来たことにびっくりしていた。





「うそ、絶対待ったやろ」


「なんでそこ疑うんだよ、本当に待ってないよ」





死ぬほどカップルみてーな会話。
いや、カップルだけど。





行こうか、と声をかけると素直に頷いて後ろをついてくるA。歩く度にまとめたポニーテールが揺れている。




「ねえ、」


「ん？」


「アイシャドウだっけ、変えたの？かわいい」





なんでわかるん？と驚きつつも嬉しそうなA。

正直、何か変わってるのはわかるのにどこが変わってるのかまではわからなくて、なんとなくここかなって思って言ったんだけど、合っててよかった。




「今日俺めちゃくちゃ楽しみにしてた」


「知ってる、めっちゃ楽しみって送ってきたやん」


「Aは？楽しみにしてた？」




いじわるかな、そう思いつつも聞くと、Aはため息をつきながら仕方なさそうに「楽しみやったで」と言ってくれた。


ちょっとだけ頬が赤いのはチークのせい？




「絶叫いっぱい乗ろうか」


「うげ、鬼。でも絶叫平気になる方法調べてんで」



それで本当に100行けるようになる訳では無いだろうが、自信満々に胸を張って言うAがかわいくてそんなのはどうでもよかった。

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