俺の全部を好きになって【角名倫太郎】

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何を話しているのかは分からないけど、楽しそう。



いいな、と思った。
私は角名に対して無愛想だし、笑顔もそんなに見せたことないし、やっぱり和田さんみたいな人が好かれるんかな。


何となく嫌だ、角名がかわいい女の子に取られるのは。
あの顔を1番喜ばせられるのは私やし、1番イケメンな顔を知ってるのも私や。





「A？顔めっちゃ怖いけど」





気づかないうちに顔がすごいことになっていた。
和田さんは話を切り上げようともせずずっと喋っている。
彼女が目の前にいるのに度胸がすごいな。いや、もしかしたら私が角名と付き合ってるのを知らないのかもしれない。




「え、ちょ、A！？」




カバンの中にあったお弁当を引っ掴んで角名の方へ歩いていく。
いつものお弁当包みとは違う、お弁当。




「角名、」



角名の席の前まで行くと、和田さんは表情が強ばった。そんなに怖がらんでもええのに。


角名は私に気づくと「なに？」と柔らかく微笑んだ。その声と顔がとても優しくて、「やっぱ角名、私にベタ惚れなんやん」って再確認した。




「これ、お弁当。作って来たから」




ちなみに私はお弁当は自分の手作りだ。両親は仕事が忙しくてお弁当を作る暇なんてなく家を出ていく。



私の手に掴まれたお弁当を角名も和田さんもさっきまで食べ歩きマップを見てた宮治も驚いた顔をして見ていた。




「え、なんで」


「この前言ってたやん、私の作ったお弁当食べたいって。やから作った」




気づいたときには和田さんはいなくて、宮治も「俺ちょっと侑のとこ行ってくるわ」と行ってしまった。




「ありがとう、やば、すげー嬉しい」



ゆるりと心底嬉しそうに笑う角名の顔。
その顔はいつもよりかっこよくて私はその角名の顔が好きだ。

私だけが見れる角名の顔。




「どういたしまして」



少しだけ優越感に浸った。

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