俺の全部を好きになって【角名倫太郎】

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今日は久しぶりにAと弁当を食べれる日だ。
もうすぐ春高予選決勝だから、昼休みの空いてる時間に侑に付き合わされることが多く、なかなか時間が取れなかった。



「水曜日どこ行く？」


「どこでもええで、あ、遊園地とかは？」


「いいじゃん、A絶叫マシン乗れんの？」


「…乗れるやつと乗れないやつがある」



2人きりで面と向かって喋るのも久しぶり。
同じクラスだから毎日会うけれど、2人きりで話すことはなかなかない。



「じゃあ遊園地にしよ。たのしみ」



Aがくれた卵焼き、いつもと味付けを変えたらしい。いつも通り美味しいけど、俺にはちょっと甘いかも。



「お、角名と八坂さんやん」


「うわ、宮侑と宮治」



めんどくさい双子が来た。
Aは面食いだけど、侑の性格自体は少し苦手らしい。

治はパンをたくさん抱えている。
昨日侑に取っておいたおにぎりを食べられたから、今日の昼飯は侑の奢りだとかなんとか言っていたな。




「そう言えば角名、来週の水曜暇？
めっちゃうまそうなラーメン屋見つけてんけど、サムと2人で行くとかきついやん？」


「どういう意味や」




また口論が始まりそうだ…

そういえばこの2人に水曜日にデートに行くって約束したことを言ってなかったな。
治は勘づいてそうだけど。



「ごめん、その日は」


「その日は、角名、私とデートやからあかん」



え



「あ、そうなん？ほな、サムと2人だけやな〜」


「なにが悲しくてツムと行かなあかんねん」




双子はそう言いながら「ほんじゃ」と言って帰っていく。




「ねえ、A今のって」


「2人にほんまのこと教えただけやけど？」


「はあ〜そういうとこずるい」




いつもならそんなこと言わないし、めんどくさい双子に絡みたくもないはず。

黒髪から覗く耳が少し赤くなっている。
Aもデート楽しみにしてたり、とか考えるとちょっとドキッとした。

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