【ＨＱ】 伏見稲荷探偵事務所

prologue ページ21

「世那、侑に依頼や」


「浮気調査ですかー」


「そーや」


浮気調査…
こっちも無縁の話だなあ…


「ほんま俺浮気調査ばかりやないすかー」



「しゃあないやろ」



「治さんは浮気調査しないんですか？」


侑さんが北さんと話していたので隣に座っている治さんに聞いてみる

何目線だって感じだけど治さんとは他の方に比べて一緒にいる時間が多いから話しかけやすいのだ


「おん、俺あんま好きやないねん」


嫌だったら…断れるのか…？
北さんのことだから適正に合わせて仕事振りしているのかな？


私はまだ入ったばかりだし、色んなことやらせるって言ってたもんな…



「世那が入ったことでできる依頼なん」


浮気調査で私がいないとだめってこと？



「世那には依頼人の宮部ゆきさんの学生の頃のお友達って形や

侑は世那の旦那としてパーティーに潜入してもらう」



パーティー？？！え、旦那？



話を聞くと依頼人のゆきさんには婚約しているお相手がおり、結婚も控えているのに知らない女性と頻繁に会っているとのこと


パーティーには多くの人も来るからそこがいちばんいいみたい

夫婦でならないといけないのはパーティー中や終わった後にお話を聞いてもらうのに、夫婦であり女性の私がいる方が怪しまれないというゆきさんの考えだと


夫婦になるのを意識させる意図もあるかもなという北さんの見解も含まれていた

治さんはずっと浮かない顔をしていた


どうしたんだろう？


「パーティーは18時から…ってことは」侑さんがタブレットを持ち見ながら言う



「そーやな、泊まりになるなあ」



「え」


そうか土曜日とはいえ、18時からなら夜まで続くだろう

その後となると、夜中…
会場はホテルだし夫婦で行くのであれば泊まっていってもおかしくない…



まじか



「世那大丈夫なん？」

治さんが真剣な眼差しで聞いてくれて断ってもいいと言ってくれているような…



「大丈夫やてー俺がおるし？
世那ちゃんだって未成年やないしなー？」


「はい」




私はまだ、侑さんを他の皆さんのようには信用できていない


きっと一緒に仕事をすれば頼りになる存在になる

そのためにも侑さんとの仕事は必須だ

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