【ＨＱ】小 さ な 彼 と の 青 春 3 【西谷夕】

空が泣きだした ページ4

「逃げんのかよ…!!!」


　 「……」


　 「根性無し!!」





根性無し…


やめて


そんな風に言わないで



「リベロしかやったことないくせに」



アタッカーの方が向いてるなんて言われて


どっちの気持ちもわかるみたいに思って


でもそんなことはなくて


ただリベロに徹底できていなかった


私が悪いのに







西谷になんてこと言ってるんだろ私は


こんなのただの八つ当たりじゃん


でも口は止まらない



「アタッカーの気持ちもわからないで根性無しなんていわないでよ!」


「どういう意味すか」


「私は!…いやいい」


「俺は決まらなくて責めるつもりはない!勝手に諦める奴に根性無しって言って何が悪いんだよ!」



今まで



優しく撫でていてくれた



右肩を



西谷に強く押された






「……ｯ」


「あ、す「悪いよ!根性があるかないかじゃないでしょ!!どうしてわかってあげないの!!」…」







逃げるように私は西谷に背を向けて走った


私の心のように淀んでいた空は泣きだした






「…何やってんだ私」





西谷の言っていたことだって正しいじゃん


なのに勝手にキレて


情けない……





もう、正解がわからない



足に力がはいらなくなって私は崩れ落ちた




「……あぁ」



自分の涙が雨に混じって手におちてくる



「輝」


「と、とおる…」


私に目線を合わせてしゃがんだ徹に子供みたいに私は泣きついた








首に腕をまわして俺に抱きついて泣いている


いつもの輝ではないみたい


綺麗な顔も涙でぐちゃぐちゃ



「もう大丈夫だから」


「とおるぅ〜…」


ポンポンと背中を撫でても輝は泣き続けた


「風邪ひいちゃうからとりあえず家来て」


俺は輝を抱き起こして立たせた





次々と溢れ出てくる涙を指で何度も何度も拭いてあげる









「ごめん、徹まで濡れちゃったね」


「いいって〜」


タオルを渡しても一向に拭く気配がないから輝の髪をくちゃくちゃにするように拭った


「……」


「俺一回学校戻って輝の分の荷物も取って来るね」


「練習いいの…？」


「俺今捻挫してるから見学だったし大丈夫!」


「あ、ありがとう…」


「上だけでも着替えた方がいいよー、置いとくねー」


「…ありがとう」


「じゃあ行って来るー」






一応恋に連絡しておこう


れんにれんらく…ｗ


……輝他にも何かあったのかな

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