5話 ページ7
深澤 side
Aちゃんとゲーセンで会って、ネコのぬいぐるみキーホルダーをあげた次の日。
学校で、友達の渡辺翔太が話しかけてきた。
渡「ふっか、おはよ。お前、そんな可愛いやつ、つけてたっけ？」
そう言って翔太が見ているのは、昨日取ったクマのぬいぐるみキーホルダー。
昨日の夜、カバンにつけた。
深「別に、俺が可愛いやつつけてたらダメっていう決まりは無いし。え、もしかして翔太、こういうの好きだった？今日取ってきてあげようか？」
渡辺「は！？そんなんじゃねぇし！いらねぇから！！」
深「はいはい、待ってろよ。ちゃんと取ってきてやるから」
渡「だから、いらねぇって！！」
阿「二人とも、今日も仲良いねw」
深「阿部ちゃん、おはよ。それ、何持ってんの？」
阿部ちゃんは、少し小さめの紙袋を持っていた。
阿「ああ、これ？これは、ふっか宛のお届け物だよ」
深「え、俺？誰から？」
阿「Aちゃんから。朝、俺のこと待っててくれたみたい」
深「何で阿部ちゃんに···。俺に直接渡してくれればいいのに···」
そうぼやきながら、紙袋を受け取る。
阿「まあ、それは置いといて···。中身、何が入ってるの？」
中を開けてみると、美味しそうなクッキーがラッピングされて入っていた。
そして、可愛らしいメッセージカード。
そこには、
“辰哉くん、ありがとう。大事にするね”
と書かれていた。
“辰哉くん”
小さい頃にAちゃんから呼ばれていた呼び方で、久しぶりに呼ばれた。
クッキーもそうだけど、久しぶりにこの呼び方で呼んでくれたことが、すごく嬉しい。
嬉しさが顔に出すぎていたのか、翔太に、
渡「うわっ、お前何ニヤニヤしてんだよ。キモッ」
と言われた。
それはさすがの俺も傷つく。
阿「Aちゃんのお菓子、美味しいよね。ふっか、俺も食べていい？」
渡「じゃあ俺もー」
深「阿部ちゃんはいいけど、翔太はダメ」
渡「何でだよ！」
深「だって、お前は関係ねーだろ」
渡「今この場に居るんだから関係ある！」
深「何だよそれ···w」
阿(ふっかがつけてるあのクマのぬいぐるみキーホルダー、Aちゃんがつけてたネコのぬいぐるみキーホルダーと似てる···。つまり···。へ〜、···そういうことか。じゃあ、あのクッキーとメッセージは、そういうことなんだね)
阿部ちゃんが全て分かったうえで、俺と翔太の言い合いを見守っていたことは、俺はまだ知らない。
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作者名：はる | 作成日時：2023年5月15日 20時
