25話 ページ31
球技大会の少し前の時間軸です。
深澤side
深「あ〜、会いたい…」
ある日の学校。
俺は机に突っ伏してそう呟いた。
阿「そんなに会いたいんだったら、会いに行けばいいじゃん」
深「その時間が無いからこんなんなってんだよ…」
渡「何？ふっかどうしたの」
阿「ある子に会えなくてふてくされてんの」
渡「あ〜、あの愛しのAね。じゃあ会いに行けばいいじゃん」
深「バイトが忙しくて会いに行けてないの！」
阿「バイト？」
怪訝そうな顔をして聞いてくる阿部ちゃん。
深「別のバイトの1人が辞めちゃって、その穴をうめるためにシフトが増えたんだよ…。お陰で週5でバイト入ってる」
渡「うわ、しんど」
阿「今日もバイト？」
深「ううん、今日は休み。クレーンゲームしてからAちゃんのとこ行こうかなー」
渡「クレーンゲームはすんのかよ」
深「Aちゃんに何かプレゼントしようかなーって思って」
阿「その前に…。2人とも、この後の数学の課題やってるの？」
深·渡「あ」
阿「はぁ…」
阿部ちゃんに見せてもらって、なんとか難を逃れた俺(たち)は、学校が終わるとすぐにゲームセンターへ向かった。
ゲームセンターに着くと、見覚えのある顔が。
深「あれ、あの子…。前にAちゃんとアイス食べてた子じゃん。名前何だっけ…」
あの男の子が、あるクレーンゲームに挑戦していた。
表情を見ると、少し険しい顔をしていて、苦戦しているのが分かる。
深「それ、俺が取ってあげよっか？」
俺が近づいて話しかけると、びっくりした顔でこちらを振り返った男の子。
？「え、え〜っと、どちらさん、ですか…？」
急に話しかけてきた俺を不審そうな目で見てくる。
俺は彼のことを知ってるのに、彼は俺のことを知らないことに、少しだけ面白くなった俺は、ちょっと笑って自己紹介をした。
深「ふはっ、そっか、俺のこと知らないもんね。初めまして、深澤辰哉って言います。Aちゃんの知り合い」
そう言うと、彼は驚いたように目を見張り、
？「えっ！Aちゃんの知り合いやったんですか！俺、向井康二です！」
あ、そうだ、康二くんだ。
Aちゃんが言っていた名前が、ようやく思い出せた。
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作者名：はる | 作成日時：2023年5月15日 20時
